プライマリーバランスどうこう以前に、日本は世界のトップを突っ走る「少子高齢化国家」なので年金、医療、介護にかかるカネが急速に膨れ上がっている。

 選挙の候補者は「夢」や「希望」しか語らないので、そのシビアな現実がほとんど国民に伝わっていないが、年金、医療、介護などへの支出から利用者の自己負担分を除いた「社会保障給付費」を見ればその深刻さがわかる。

 2023年度に135兆円で国内総生産(GDP)比の規模は22.76%(日本経済新聞 2025年7月29日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2879G0Y5A720C2000000/)。三菱総合研究所の試算では7年後の2030年には149兆円、2040年には169兆円と右肩上がりで増えていく。

 これから日本は税をおさめる「現役世代」が急速に減っていくなかで、一体誰がこの膨張する社会保障を支えるのかという大きな問題があるなかで、日本の政治家の多くは、社会保障の財源である消費税を廃止せよと訴えている。もしそれを本気で実行するのなら、税収32兆円が吹っ飛ぶ。

 そこに加えて「為替変動に強い経済をつくるための国内投資」を加速していくとなると、赤字国債に頼るしかないというのは目に見えている。

「こいつ、頭が財務省だな」と呆れる積極財政派のみなさんも多いかもしれないが、もし筆者が「ザイム真理教」とやらに洗脳されているとするのなら、残念ながら世界のほとんどの国が「ザイム真理教信者」になってしまう。

 わかりやすいのは、高市首相の「積極財政」に対する海外メディアの反応だ。

 フランスの経済紙「レゼコー」は、日本の債務残高が国内総生産(GDP)の230%に膨らんでいるので消費税を維持すべきだと述べ、もし自民の公約通りに食料品の減税をしてもGDPの押し上げ効果は2年も続かないとした。

 また、ベルギーの有力紙スタンダルトは、イギリスで積極財政を推し進めてトリプル安を招いて退陣したトラス元首相を引き合いに、「高市氏は『トラス氏の瞬間』を迎えている」と報じた。(読売新聞オンライン 2月2日 https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20260202-GYT1T00492/)