偶然の発見から生まれた新カテゴリー
発売から15年で「さけるチーズ」に改名

 山梨県北杜市小淵沢町にある雪印メグミルクのチーズ研究所。標高約850メートルの高原地帯に位置するこの施設で、半世紀近く前にさけるチーズは産声を上げた。

 チーズのカテゴリーとしては「ストリングチーズ」に分類される。細長い棒状の裂けるタイプのナチュラルチーズを指す名称だ。主原料であるモッツァレラチーズに熱を加えて引き伸ばすことで繊維状の構造を作り出し、シコシコとした食感とミルクの風味を引き出している。ストリングチーズ自体は海外でも見られるものだが、日本企業で本格的に商品化したのは雪印メグミルクが初めてだった。

 誕生のきっかけは、ある種の偶然だった。当時、研究所でチーズの商品開発をしていた際、余ったチーズをお湯に入れて伸ばし、食べてみたところサキイカのような物性があることに気付いた。「これは面白い」――そう感じた研究者たちは、すぐに商品開発へと舵を切った。

 当初の商品名は「ストリングチーズ」。ストレートなネーミングだが、主に酒のつまみ需要を狙った商品コンセプトもあり、塩味とスモーク味の2種類で展開した。

ストリングチーズ1980年に発売された「ストリングチーズ」。発売当初のパッケージ 写真提供:雪印メグミルク

 初年度は首都圏限定で発売したところ好評を博し、翌年には生産拠点を北海道の大樹工場に移して量産化を開始、全国で販売した。当時は競合も存在せず順調に売れていった。

 そして1995年、現在の商品名「さけるチーズ」へと変更される。このタイミングでフレーバーの種類も増やしていった。

 ネーミング変更の経緯について、現在さけるチーズの商品ブランドを担当する雪印メグミルク乳食品事業部チーズグループの勝山大地氏は次のように説明する。

雪印メグミルク乳食品事業部チーズグループの勝山大地氏雪印メグミルク乳食品事業部チーズグループの勝山大地氏 Photo by M. F.

「当初は成人男性の飲酒シーンを想定して、おつまみ需要に合わせた展開をしていました。ただ、もう少し顧客の裾野を広げることを目的としつつ、ストリングチーズという名称が少し分かりにくいこともありました」

「この商品の特徴である裂いて食べる点をより分かりやすく伝えるように、そして小さなお子さんにも食べてもらいたいことも狙って名称変更しました」