2度の値上げが打撃
海外展開の強化で収益増を図る

 ただし、2025年は販売物量が前年を下回る見通しだという。原因は2度の値上げが大きく響いている。

「やはりお客さんは価格にシビアで、当社の商品の中でも特に影響を大きく受けているのがさけるチーズでした。市場の売価帯が200円を超えているのが、価格改定後の動向なんですよね。従来さけるチーズは大体200円以下で、店頭の特売などでお客さまに購入いただいていたのが実績としては大きかった。価格改定を経て売価帯が200円を超えたことへの抵抗感が大きく影響を受けているのは肌感覚としてあります」

 値上げは2025年3月に約7%増、7月に約3%増の2回実施された。背景には乳価の改定がある。国産の生乳価格は年に一度改定される傾向があり、酪農家の経営環境や飼料価格の高騰などを反映して決定される。それに伴うコスト増を吸収するために、同社は値上げで補う事業判断を下したのだ。

 2023年、2024年と値上げはなかったため、消費者にとってはインパクトがより大きくなったといえる。特に食品の値上げが相次ぐ中、200円という心理的な価格ラインを超えたことの影響は小さくない。

雪印メグミルク乳食品事業部チーズグループの勝山大地氏雪印メグミルク乳食品事業部チーズグループの勝山大地氏 Photo by M. F.

 それでも、雪印メグミルクは次の一手を見据えている。海外展開の強化、そしてインバウンド客へのアピールだ。既に一部の国では販売実績もあり、日本の食文化の一つとして、さけるチーズを今後はより本格的に展開していく予定だ。

 また、訪日外国人観光客が日本のスーパーやコンビニで食品を購入する機会も増えており、さけるチーズの独特な食感と楽しさは、新たな市場開拓の可能性を秘めているという。

 46年間、ほぼ一貫して成長を続けてきたロングセラーブランド。その成功の裏には、変わらぬ品質へのこだわりと、時代に合わせた柔軟な戦略転換があった。さけるチーズの挑戦は、まだ続いていく。価格高騰という逆風に直面しながらも、ブランドが培ってきた信頼と愛着は、簡単には揺るがないはずだろう。