生まれつきは楽天的な性格だったけれど、ひどい環境で育ったせいで不安を抱えるようになった人もいます。

 反対に、いい環境で育ったにもかかわらず、生まれつきの要素が強くて不安になってしまう人もいます。

 あるいは、もともと不安になりやすい性格が、環境によってさらに強化されてしまうパターンもあります。

 以上のように、遺伝と環境の影響を受け、その人の不安のなりやすさが決まりますが、不安感情は、ネガティブな思考のくせとの関連が知られています。

不安になりやすいくせは
矯正することができる

 ネガティブな思考のくせがあると、不安が強くなりがちです。

 例えば、「生成AIが登場」という同じニュースを見聞きしたとき、「便利になりそう」と思う人がいる一方で、ネガティブな思考のくせがついている人は「人間の仕事が奪われて、これからますます生きづらくなるに違いない」と不安に感じます。

 ものごとの否定的な面ばかりを大きくとらえて、肯定的な面を無視するような思考のくせがあるせいで、必要以上に心配し、不安な感情に苦しんでしまうのです。

 でも、思考のくせは一生変わらないわけではありません。

 私が診てきた患者さんの中にも、自分の思考のくせに気づき、くせを修正し、バランスをとるようにすることで「気持ちがラクになった」という人がたくさんいます。

 思考のくせのさまざまなパターンについて見ていくことにしましょう。

 アメリカの精神科医アーロン・ベック博士が、1960年代に認知療法という、うつ病の治療法を考案しました。

 ベックは、うつ病の治療に取り組む中で、うつ病の患者に否定的な思考のくせ(認知の歪み)があることに気づきました。この否定的な思考の特徴は「ベックの認知の3徴」と呼ばれています。

 うつ病と全般不安症については、神経症傾向という性格の背景を持つことや、疲れやすさや集中困難、睡眠の問題などの症状がみられることなど、共通点が多く、思考のくせについても共通な部分があると考えられます。

不安になりやすい人の
3つの思考パターン

 ベックの認知の3徴と不安との関係は、次のようにまとめられます。