ただし、経済的な負担能力に応じて限度額を決める応能負担の考え方を強化しているので、引き上げ率は4%~38%と大きなばらつきが出ている。なかでも、負担が大きく感じられるのが高所得層の人たちだ。
27年8月以降の自己負担限度額は、所得区分「1」の人は34万2000円+1%、「2」の人は30万3000円+1%に引き上げられる。そのため、所得区分「1」の人が高額療養費の適用を受けられるのは、医療費が114万円を超えてからになる。「2」の人は101万円を超えないと高額療養費の適用対象にならない。
つまり、上位2つの所得区分の人は、医療費が100万円かかっても高額療養費の適用を受けられず、3割の30万円を支払わなければならないのだ。
長期療養者と低所得者には
負担軽減策も導入される
一方で、がんや難病などで長期療養を強いられている患者に配慮するために、(1)多数回該当の金額の据え置き、(2)年間上限額の新設、(3)年収200万円未満の人の多数回該当の引き下げなど、患者の負担を引き下げるための制度改正も行われる予定だ。
多数回該当は、高額療養費の適用対象となった月が過去12カ月間で3回以上になると、4回目から自己負担限度額が引き下げられる制度だ。例えば、所得区分が「ウ」の人の自己負担限度額は8万100円+1%だが、4回目からは4万4400円に引き下げられる。
25年度の予算案で提示された高額療養費の見直しでは、多数回該当も引き上げの対象となっていた。年収700万円の人は、現行の4万4400円から、25年8月に4万8900円、26年8月に6万3000円、27年8月に7万6800円に引き上げる改正案が示されていた。
だが、多数回該当が適用されるのは長期療養を強いられている患者で、医療費が大きな負担になる人たちだ。患者団体からの要望もあり、今回の制度改正では多数回該当の引き上げは見送られ、今後も現行水準が維持されることになった。
また、新たに自己負担額の年間上限が設定されることになったため、ギリギリで高額療養費の適用が受けられなかったり、長期療養しているのに多数回該当の要件から外れてしまったりするようなケースでも、1年間に支払う自己負担額は一定範囲内に抑えられるようになる。
さらに、所得区分が「12」になる年収200万円未満の人は、多数回該当の限度額が現在よりも引き下げられる。現在、年収200万円未満の人の所得区分は「エ」で、多数回該当の限度額は4万4400円だが、家計に占める医療費の割合が大きな負担となっている。そのため、27年8月以降は3万4500円に見直されることになった。







