さらに、「住居費がもったいないから」と子どもとの同居を強いられ、住み慣れた地域を離れて肩身の狭い思いをしながら暮らす羽目になり、寂しい晩年を過ごしている高齢者の話もよく聞きます。

 こうした問題が起こる背景には、「子どもに財産を残してやろう」「子や孫を幸せにしてあげたい」といった親心があるのですが、むしろそれが家族の不和や不本意な老後につながってしまうことがあるようです。

財産を残したいと思うなら
きちんとトラブルを避ける準備を

 遺産問題を見ていると、日本ではお金を持っていてもあまり幸せそうに見えない人が多いと感じています。

 いえ、どちらかというと、不幸なお金持ちのほうが多いのではないでしょうか。まさに「金持ちパラドックス」です。

 だったら、自分の財産を子や孫のために残しておくより、やはり元気なうちに使いたいことに使ってしまったほうがずっといいのではないかと思います。

 それでも、やはり子どもたちに財産を残したいと思うなら、家族で十分に話し合い、不公平感や感情的なしこりが残らないようにしておくべきです。

 その上で内容をしっかり文書に残す、録音をしておく、公正証書を作るなど、万が一の備えもしておいたほうがいいでしょう。

「うちの子たちは大丈夫」と思い込まず、きちんとトラブルを避ける準備をしておくことが大切です。

親が果たすべき
重要な役割とは

 そしてもうひとつ言えるのは、「子どもに手をかけすぎてしまった」と悔やむ高齢者も多いということです。

 一般的に幼少期から不自由なく恵まれた環境で育つと、欲しいものがすぐ手に入る分、与えられることが当然になって、親へのありがたみや感謝の気持ちが育ちにくい傾向があります。

 また、日本の親はいくつになっても子どもを「子ども扱い」してしまう傾向が強いと思います。

 しかし、ある年齢を過ぎたら、もう子どもではないのです。だからこそ、どこかで一線を引くことが必要です。