免疫細胞が出す炎症物質を吸収し、なおかつCAR-T細胞の生存期間を延ばしてくれる機能を持つことから、がん予防に使える可能性がある。

「人工サイトカイン受容体は、がんの発症と関わる炎症を起こす任意の分子をT細胞に吸収させることができます。これを搭載したCAR-T細胞を使えば、がんになる一歩手前の『前がん細胞』の増殖を抑えたり、がん細胞発生の素地になる慢性炎症をキャッチして抑えられるかもしれません。

『予防医療How Much? 病気のリスクをお金の価値で考えてみた』書影予防医療How Much?病気のリスクをお金の価値で考えてみた』(堀江貴文、メディカルレビュー社)

 研究はまだ初期段階で、CAR-T細胞が勝手に増えたりせず、長生きして炎症のところにとどまってくれるための細工など、まだやることはたくさんありますが、予防は究極の医療。大きな夢を持って研究に取り組んでいます」(龍谷教授)

 いま実用化されているCAR-T療法は、いったん消えたがんが再発したり、CAR-T細胞の攻撃力が弱まったりすることがあり、それらの改善が目下の課題だ。

「保険診療3割負担で1000万円近くかかる高額な費用をいかに下げるかも、もちろん課題の1つ。費用については、現状では患者さんのT細胞からでしかCAR-T細胞を作れませんが、献血のような形で健康な人からT細胞を採取し、拒否反応が起こらないように細胞を加工できるようになれば、製造コストが大幅に下がります」(龍谷教授)

 献血からCAR-T細胞が作れれば、普及は加速度的に進むだろう。