他方で、キャラクターそのものを武器に変え、作品を成功へ導いた稀有な漫才師となると、故・横山やすしを差し置いて、ほかに思い当たらない。
1983年に公開された映画『唐獅子株式会社』は、やすし演じる出所したばかりの組員が、いつの間にか企業化したヤクザ組織の一員として、歌の下手な新人女性をスターに仕立て上げようと奔走する任侠コメディだ。本作でやすしが繰り出す恫喝トークや暴力表現には、役柄とは思えないリアリティがあり、物語以上に観る者の記憶に残る演技だった。
女性人気ワースト1芸人から
ドラマや映画に欠かせない俳優へ
お笑いから俳優へかじを切り、2時間ドラマなどで欠かせない存在となったのが、片岡鶴太郎だ。80年代前半にブレイクし、時代を象徴するバラエティー番組『夕やけニャンニャン』や『オールナイトフジ』(共にフジテレビ系列)などで司会を務め売れっ子に。しかし、セクハラや下品なギャグを繰り出すキャラで「女性人気ワースト芸人」の汚名も付いた。
そんな鶴太郎は、『男女七人夏物語』(1987年/TBS系列)で演じた、大沢貞九郎役が当たったことで俳優業を本格化させることを決意。もともと俳優への憧れも持っていたことから、芸人とは思えないストイックさで肉体改造に取り組んだという。当時の心境を、ラジオ番組『植竹公和のアカシックラジオ』(AuDee)にて次のように語っている。
「いよいよ、役者の方にスライドしていこうと。でも、(依頼が)来る役はみんな、貞九郎をこすった役でね。それは一周したら終わっちゃうんで。役者としてやるには、これまでのイメージをかなぐり捨てて、バラエティー仕様のこの肉体では無理だなって。それには、ボクシングがいちばんいいと」
思いを叶えるべく、小太りだった体型をシャープに肉体改造。88年にはボクシングのプロライセンスまで取得した。同年公開の映画『異人たちの夏』では、ブルーリボン賞助演男優賞をはじめ数々の賞を総なめし、俳優業へ進む大きな足がかりを作った。
片岡鶴太郎 Photo:JIJI







