旧安倍派の悲願でもある憲法改正ですが、発議には衆参それぞれ3分の2の賛成が必要です。参議院では自民党は少数与党ですから、2年後の選挙において参議院で圧勝しないかぎり発議はできません。

 次の参院選は2028年夏です。それまでの2年間、日本社会と日本経済を高市政権がよくなる状況に変えられない限りは参院選で勝てません。ですから憲法改正に不安を感じる人の心配通りになる場合には、日本はめちゃくちゃ良くなっている必要があります。これがひとつめの理由です。

 もうひとつの理由は、これはすでに衆議院で顕在化していますが、自民党が圧勝するということは党内の反高市勢力が数のうえで力を持つことを意味します。もともと高市首相は強硬な保守右翼寄りで党内では少数派です。党内にはリベラル寄りや中道派の議員、親中派の議員が多く、反高市勢力を形成しています。

 こういった勢力がまるまる当選したことで、党内の大物議員はさっそく「政権の間違った方向にブレーキをかける」グループを立ち上げる動きをみせているぐらいです。

 仮に2年後、衆参で自民党が3分の2の議席を獲得した場合にはタカ派的な憲法改正案は出せなくなるでしょう。

 さて、この大きな前提に基づいて予測すると、これからの2年間、問題は軍事ではなく経済です。高市首相は死に物狂いで3つのことに取り組む必要があります。それは、次の3つです。

1. 実質賃金の上昇
2. 社会保険料負担の軽減
3. 経済の成長

 そして経済学の観点でみれば「2年後にこの3つが成立する」ためには、実は道順は一本道しかありません。ここがポイントです。あれこれ試行錯誤する余裕がないので、問題はやるかやらないかになり、やれば日本経済にはメリットが出てくることが予測されます。

 この点を順を追って説明します。

 国民の生活が苦しくなっている理由がインフレです。それも円安と商品の国際相場の上昇で起きたスタグフレーション(賃上げが停滞する中でのインフレ)になっていることが問題です。国際的には原油相場上昇が一段落しはじめている中、日本政府は補助金でガソリンや電気の価格を抑えようとしています。

 これに加えて食料品の2年間の消費税廃止が実現できれば、単純計算で食料品価格が8%分だけ値下がりします。細部のスキーム検討が重要なので、おそらく実施は最短でも来年4月のタイミングになりそうですが、実行されればインフレ抑止の追加効果が期待できます。