こうやって一時的に国の財政をリスクにさらしてでも経済を成長軌道にのせられれば、論理的には3つの問題がすべて解決します。そこで唯一の残課題となるのが「高市政権の成長戦略が機能するのかどうか」です。
実はここに最大の論理矛盾があります。高市首相が選んだ17の重点分野はどれも、2年以内に花開く短期成果を想定しづらいのです。
具体的には国産AIの開発、量子コンピュータの実用化、核融合技術の実現、レアアースの自給、先端技術での創薬、宇宙ビジネスの拡大、船の建造力強化、フードテックによる植物工場など多くの項目が未来への投資としては重要ですが、投資回収までに10年はかかる長すぎる投資です。
一方で防衛力の強化や防災のための国土強靭化、サイバーセキュリティの強化などは支出の面ではGDPに貢献するでしょうけれども、経済的な成果を押し上げるタイプの投資ではありません。
おそらく2年後の日本経済に貢献してくるのは熊本と千歳の半導体工場と、アニメ輸出の2分野だけでしょう。
では高市改革は頓挫するのでしょうか?2年間、減税して国費をばらまいて、経済成長が1%を下回る状況のままで財政が悪化して最悪の未来がやってくるのでしょうか?
実はそうとも限りません。というのは2026年から2027年にかけて、ここまでのシナリオに書かれていない「神風」が日本経済に吹くのです。
それがAIの実用化です。読者のみなさんもご存じのとおり、なぜ日本経済が停滞しているのかというと最大の理由は少子高齢化による人手不足です。企業が成長したくても人が採れなくて、事業が拡大できないのです。個々の産業や企業によって若干の違いはありますが、国全体のマクロではそういった停滞が起きています。
この状況が変わるためには、実は産業全体で大規模な失業が起きることが労働力の創出の面で好都合です。それが経済が悪化するような失業ではなく、テクノロジーの進化がもたらすイノベーション失業であれば、経済学的にはとても好都合な状況が生まれます。







