アジア航測と共同開発した
鉄道向けMMS技術サービス
MMSを手掛ける事業者のひとつが、航空測量を祖業とする空間情報コンサルタント・エンジニアリング企業の「アジア航測」だ。JR西日本は2013年に株式の27.4%を保有して同社の筆頭株主になり、MMS技術を鉄道に活用すべく業務提携を締結した。
道路分野で道路台帳の更新や構造物、路面の調査などで用いられてきただけに、鉄道でも保線分野での活用を目指し、2014年から検討に着手した。そして2019年、共同開発した鉄道向けMMS技術サービス「RaiLis(レイリス)」を製品化。2021年からJR西日本の新幹線、在来線全エリアで正式運用を開始した。
RaiLisは、(1)モーターカー(業務用車両)が牽引する台車などにMMS機材を搭載して、線路および周辺設備の高密度3次元点群データを取得する計測サービス、(2)取得した3次元点群データの解析処理を行い、建築限界確認、ホーム限界測定、見通し解析などのレポートや、図面データを作成するコンサルティングサービス、(3)3次元点群データ上で測定作業や帳票出力などを効率的に行うためのシステム構築サービスから構成される。
以上をふまえ、JR西日本の点群データがどのようなものかを見ていこう。測量はMMS機器を設置した専用台車を、走行しながらレールの状態を計測するレール探傷車(業務用車両)で牽引。深夜に時速約20キロで走行しながら、レール探傷と測量を同時に実施している。
レーザスキャナは回転しながら1秒間に100万発のレーザーを発射する。測量精度は進行方向と走行速度によって変わり、レール・枕木は進行方向を数ミリ単位で測量できる。駅付近では速度を落として測量することで点群の密度を上げ、標識など小さな物体も把握する。また、レーザーは100メートル程度届くため、線路脇や側道まで測量可能だ。
手動による「限界測定」を
点群データの活用で改善
JR西日本は開発当初から、点群データを「限界測定」に活用したいと考えていた。鉄道は列車が走行する空間内に構造物を設置せず、樹木などの支障物を侵入させないことで安全を確保している。この範囲を「建築限界」といい、ホームドアなど設備の新設時や、一定期間ごとに建築限界が保たれているか測定している。







