「とりあえずコンサル」という風潮が
就職・転職市場に広がったワケ

 筆者の肌感覚では、リーマン・ショックを境に、それまで学生の就職先として人気を誇っていた伝統的日本企業(いわゆるJTC)や官公庁が、徐々に優秀層の志望先から外れ始めた。

 同時期には、既存の大手企業に入らなかった優秀層が、起業家となってITベンチャーを立ち上げる例も増加。メディアでも「日本企業はGAFAに負けた」といった論調が目立つようになった。

 その結果、学生の中で「日本の大企業に入っても、なかなかスキルが身につかない」という危機感が広がり、コンサルファームや投資銀行などの外資系企業を目指す流れが加速し始めた。

 こうした動きを受け、コンサル会社も新卒採用を強化。就活解禁直後に会社説明会を開いたり、選考を実施したりするファームが増えていった。

 そして難関大学を中心に「ゼミの先輩がコンサルに入ったから、話を聞いてみよう」といった気軽な動機で説明会に行き、興味を持って志望する学生が増え始めた。

 振り返れば、学生が「とりあえずコンサル」を目指すようになった背景には、こうした潮流があったと言える。

 現在は、東京大学や慶應義塾大学、早稲田大学といった国内トップクラスの大学の就職人気ランキングで、コンサルが上位に入る状況が続いている。
 
 しかし、とある大手外資系コンサルファームのパートナー(共同経営者)は、昨今の採用事情について「本当に優秀な学生はベンチャー企業に流れている」「コンサルファームでは優秀層をあまり採用できていない」と嘆いていた。

 要するに、「とりあえずコンサル」の流れによってコンサル業界を志望する母集団は増えたものの、その中に含まれている優秀層は一握りに過ぎない。これがコンサルブームの実態であり、ここ5~6年にわたって各社が抱えている課題なのである。