現代の若者と、その若者の恋愛離れを嘆く大人たち、果たしてどちらが本当に特殊な世代なのか、長期的な視点に立つと評価が変わってくることがおわかりになると思います。

 80年代や90年代当時、クリスマスのレストランはカップルで埋めつくされていました。しかしその場の全カップルが本当に恋人同士だったかというと相当疑わしく、クリぼっちにならないための「友達以上恋人未満」なカップルも相当数含まれていたはずです。

 確かに当時は現在に比べてさまざまな形で若者の「恋愛的消費」が盛り上がっていたのは事実でしょうが、その差分の相当な部分が「(恋人がいなくても)恋愛しなきゃ」という時代の切迫性によってつくられていたのです。

恋愛至上主義に毒された平成と
恋愛がすべてではない令和

 1990年代が「恋愛至上主義」の時代であったことを物語る一例として、雑誌『Olive』の1991年7月号の特集「友達恋人宣言!男の子のいない夏、なんて考えられない!」が挙げられます。恋人がいないならば手近な男友達を「友達恋人」として仮採用してしまおうという、きわめて恋愛至上主義的な内容です。

 しかも『Olive』は、もともとは「男ウケ」よりも自分らしさを重視する女性像、いわゆる「オリーブ少女」を提案していた雑誌です。その雑誌ですら恋愛を前提とした生き方を特集していたことを思えば、当時の空気がいかに恋愛に偏っていたかがうかがえます。まして、男性からのモテを追求していた赤文字雑誌(編集部注/20代前半の女性をターゲットにした、題字が赤系色の雑誌。『JJ』『ViVi』『Ray』『CanCam』の4誌を指す)がどのような価値観を提示していたかは想像に難くありません。

 一方で、現在の若者であるZ世代では「恋愛が人生のすべてではない」という感覚が強まっています。実際、男女ともに恋愛願望は減少しており、「自分は恋愛願望がある方だと思う」と答えた人の割合は30年前は83.9%と8割を超えていましたが、直近では69.2%と7割弱になっています(男女差はそこまでなし)。

 同時に「同性の目と異性の目では、どちらかといえば異性の目を意識する」人は69.5%→51.5%に減り、「どちらかといえば同性の目を意識する」人が30.5%→48.5%に増えたことで、ほぼ同じ割合となっています。