五十嵐「まさか。こういう情報は、なかなか表には出てこないんだよ。資産運用チャンネルで勉強しているから大丈夫さ」

千葉「ふ~ん、お前は独り身だから、自由に決められていいな。ただ、ちゃんと考えた方がいいぞ。後から取り返しがきかないと困るからな」

五十嵐「わかってるよ」

 五十嵐は、60歳から年金を受け取り、その資金を新NISAで運用する選択は合理的ではないかと考えていた。だが千葉の反応は慎重だ。運用には一定の経験があるとはいえ、再雇用後に思わぬ調整を受けることは避けたい。そこで五十嵐は、年金制度に詳しい社労士・カタリーナに相談することにした。

60歳開始の場合、もらえる金額は24%減り、影響は生涯続く

カタリーナ

カタリーナ「こんにちは、社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」

五十嵐「私は独り身で、あと2年足らずで定年を迎えるんですが、再雇用で働きながら、60歳で年金をもらい始めようと思っているんです。それ自体は、問題ありませんよね?」

カタリーナ「ええ、あなたが希望するなら。年金は原則65歳からだけど、60歳から75歳までの間で受け取り開始時期を選択することができるから。でも、なぜ60歳から?」

五十嵐「受け取れるものは、早く受け取りたいと思うのは当然でしょう。それに、受け取った年金をすべて新NISAで投資に回せば、老後資金だってもっと増やすことができるはずです」

カタリーナ「まぁ、そういう考えもあるわね」

五十嵐「男性の健康寿命は72歳くらいでしょう? 健康不安もあるし、少しでも元気なうちにもらっておきたいですよ」

カタリーナ「なるほど。ただ、繰上げ受給は、1カ月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減るから。60歳での受給となると【0.4%×60カ月=24%】、本来もらえる金額の24%も減ってしまうわ」

五十嵐「わかっています」

年120万円が91万円に~損益分岐点は81歳が目安

カタリーナ「例えば年金200万円だとして、在職老齢年金の計算対象になる老齢厚生年金、つまり報酬比例部分が年120万円あるとしたら、91万2000円になってしまうってことよ」

五十嵐「年間28万8000円少なくなるってことですよね」

カタリーナ「その差が一生続くことになるけど、いいの?」