「年金をどう位置づけるか」が最終的な判断軸

五十嵐「なるほど。再雇用までにはまだ時間がありますが、労働条件を考える際の参考にします。年金のもらい方も働き方も、これからは自分で考える時代ですからね」

カタリーナ「まぁ、頼もしいわね。選択は人それぞれだから。私だったら、取り崩しのフェーズに入って、常にマーケットにハラハラしながら毎日を過ごすよりも、繰下げて増額が確定された年金をもらった方が気楽かもしれないわ」

五十嵐「結局、年金をどう考えるかですね」

カタリーナ「そうね。年金を“増やす原資”と考えるのか、“長生きに備える基盤”と考えるのか。本来は長生きリスクに備えるものだから、余裕資金で投資を行ってインフレに対抗しながら、年金の上乗せを作っていくのがベターだと思うわ。ただ、合理性は人によって違うものだから」

五十嵐「そうですね、よく考えてみます」

 

<カタリーナ先生からのワンポイント・アドバイス>
●在職老齢年金は、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入して働く人について、老齢厚生年金の月額(報酬比例部分)と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額(令和8年度は月65万円)を超える場合、その超過額の2分の1が老齢厚生年金から支給停止される制度。老齢基礎年金および加給年金は判定対象に含まれない。総報酬月額相当額とは、標準報酬月額に直近1年間の標準賞与額を12で除した額を加えたもの。

●老齢基礎・厚生年金は、原則として65歳から受け取ることができるが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができる。ただし、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わらない。減額率は、1カ月あたり0.4%(昭和37年4月2日以降生まれの人)となる。

●老齢年金を繰上げ請求すると、国民年金の任意加入や保険料の追納はできない。また、初診日が繰上げ後にある場合は障害基礎(厚生)年金を請求することができないため、治療中の病気や持病がある人は注意したい。国民年金の寡婦年金も支給されない。

●老齢年金には、60歳からの繰上げ受給だけでなく、65歳以降75歳までの繰下げ受給という選択肢もある。繰下げた場合、増額率は1カ月あたり0.7%、最大84%となる。いずれが適切かは、就労の有無、資産状況、健康状態などを踏まえて総合的に判断したい。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)