AさんとBさん、どちらが幸せな70代といえるでしょうか。医学的に見ても、Bさんのようにたんぱく質と脂質がしっかり満ちている体のほうが免疫力が高く、病気を跳ね返す力があるのです。真面目であることが裏目に出てしまうのが、高齢期の健康管理の難しいところです。

脂肪は「保険」、やせは「無保険」と考えてみてください

 なぜ、やせていることがここまでのリスクになるのでしょうか。その答えは「予備能力」にあります。

 脂肪や筋肉は、いってみれば「体力の貯金」です。シニアになると、肺炎や転倒による骨折など、予期せぬ病気やケガに見舞われることがあります。体に十分な貯金(脂肪と筋肉)があれば、入院して食事が取れない期間があっても、その蓄えを切り崩しながら回復に向かうことができます。

 しかしやせていて貯金がゼロの状態では、体力をあっという間に使い果たし、寝たきりになってしまうリスクが高まります。

 少しお腹が出ているくらいの脂肪は、「万が一のときのための保険」として機能しているのです。メタボ対策などといって、せっかくの保険を解約する必要はありません。

 心不全においても同様のことが言われています。太っている方のほうが心不全の発症を回避しやすく、最もリスクが高かったのはやせ型の方でした。高齢期において、脂肪や筋肉は病気と戦うための備蓄エネルギーであり、生命をつなぎ止めるための大切な防波堤なのです。

「食が細くなった」を放置してはいけません

 65歳を過ぎたら、体重計の使い方も少し変えてみましょう。これまでは「体重が増えていないか」を確認するために乗っていたかと思います。しかしこれからは「体重が減っていないか」を見守るために使っていただきたいのです。

 シニアになってからの意図しない体重減少は、老化の危険なサインです。「特にダイエットもしていないのに、最近少しやせてきた」などということがあれば、喜んでいる場合ではありません。気づかないうちに筋肉が落ち、骨がもろくなり、体が枯れ始めているサインかもしれないからです。