つまり、「与えられた仕事をこなす」「誰かの指示を待つ」のではなく、自ら考え、学び、そして自分なりの意味を見出して、価値につなげていくこと。これこそが米陸軍工兵が体現していた「自走型思考」であり、私にとってのセルフスターターの原点になったのです。

集中力を保つため授業中は
ビーフジャーキーを食え!?

「授業には、ビーフジャーキーと批判的思考を持ち込め。これさえあれば、どんな難問も噛み砕いて、美味しく解決できる」

 米陸軍工兵学校の初日に、教官が放ったこのひと言は衝撃的でした。言い換えれば、こういうことです。

・ビーフジャーキー=「リラックスした集中力」(自分の環境を整える力)
・批判的思考=「問い、見抜き、選び取る力」(構造を見抜く力)

 最初はピンときませんでしたが、授業がはじまるとすぐに納得しました。

 米陸軍の同僚が突然席を立ち、自分のランチボックスを教室の電子レンジで温めはじめたのです。

「授業中にまさかのレンチン!?」。

 驚く私とは対照的に、誰ひとり気にする様子がありません。ほかの将校たちも、ビーフジャーキーを噛みながら、講義に集中していました。

 工兵学校では、「お腹がすいて集中できないなら、勝手にジャーキーを食べなさい」という空気がありました。

 礼儀や体裁よりも、学びに最適な環境を優先する。それが当然という文化です。つまり、誰かが用意してくれる環境を待つのではなく、自分で集中できる環境をつくることが求められていたのです。

 皆それぞれ、テリヤキ味やペッパー味など、自分の「推しジャーキー」を常備し、噛みながらリラックスして集中力を保っていました。

 噛むという行為にはストレス緩和や覚醒作用があり、ビーフジャーキーは満腹感があり保存も効く。まさに野外の任務でも必須のエネルギー源なのです。

 私自身、高校の剣道部時代、朝練のあとに授業中こっそりカレーを食べて、しっかり怒られたことがあります。それだけに、この「匂うけれど自由な学び」は衝撃であり、同時に解放でもありました。