子育て世帯に対して金銭給付や
独身者への結婚支援は正当
また、日本企業は昔から、長時間労働や頻繁な転勤など、労働者の結婚や出産にとって大きな障害となる勤務体制をとっています。これは企業のコスト(限界費用)の中に、労働者やその家族の私生活に強いる犠牲(コスト)や、その結果、社会に少子化をもたらす被害(コスト)の大きさが十分に考慮されていないという意味で問題です。
つまり、日本企業の雇用慣行によって外部不経済が発生し、企業の私的限界費用と社会的限界費用が乖離しているのです。このため、政府が働き方改革として、労働時間の規制を行ったり、ワークライフバランスの改善に取り組む中小企業へ補助金(注2)を出すことが、外部不経済の是正策として正当化されます。
我が国の社会保険は賦課方式と言って、将来も子どもが生まれ続け、保険料や税を負担する労働人口が一定程度、維持されることを前提とした仕組みになっています。
このため、急速な少子化が進んで労働人口が急減することは、我が国の社会保障の持続可能性にとって大きな脅威となります。逆に言うと、子どもが生まれ、自立した大人に育ってくれることは、社会保険にとってまさに福音であり、子どもは社会保険に外部経済をもたらす存在と言えます。
このため、政府が、子育て世帯に対して金銭給付をしたり、独身者への結婚支援を行うことが正当化されるのです。
(注2)これは、外部性を解決(内部化)するためのピグー補助金(編集部注/社会全体にプラスの効果をもたらす活動を促進するために、政府が交付する金銭的な支援)と解釈できます。同じ理屈で言えば、いつまでも長時間労働や頻繁な転勤を行っている企業には、ピグー税と(編集部注/環境汚染などの外部不経済を是正するため税金を課す政策)して追加的な法人税を課すべきと言えるでしょう。
一方、年金や医療保険、介護保険などの社会保険はなぜ、資源配分の効率化政策に分類されるのでしょうか。







