雇用を継続する予定がないなら
情状証人はキッパリ断ったほうがいい

 被告人に頼れる親族がいない場合などは、弁護人等から勤務先の上司に対して情状証人として証言してほしいと依頼がされることがあります。

 このような依頼があった場合には、当該上司の個人の判断に任せるのではなく、会社としてどのように対応するかを決めるべきでしょう。ただし、情状証人が証人として宣誓義務が生じ、偽証罪の対象に形式的にはなるものである以上、当該上司の意思を尊重することも必要であり、業務命令として情状証人になるように命じるようなことはできないと解するべきでしょう。

 では、どのような点を考慮して判断するかについてですが、情状証人となるということは、被告人を継続して雇用していくことが前提となります。したがって、当該被告人を継続して働かせることを予定していない場合は、その前提を欠くことになりますので、情状証人になるべきではありません。

 また、情状証人になるということは、今後も当該被告人の雇用を継続するという会社としての意思表示ともいえますので、仮に後に懲戒解雇をした場合、会社の上司が情状証人になったことが解雇と矛盾する対応であるとして、解雇の効力を争われたときに会社に不利な材料となる可能性があります。

 したがって、懲戒解雇等の処分が予定され、引き続き雇用する予定がない場合はもちろんのこと、引き続き雇用するか否かや懲戒処分の内容が決まっていないような場合には、情状証人になるべきではないでしょう。

 なお、情状証人になるか否かの依頼に応じるかは完全に任意ですので、雇用継続を予定していたとしても、上司の負担等を考慮して、その依頼を断ることも当然に可能です。

雇っている社員が業務中に
起こした不法行為の責任は誰にある?

Q 社員が犯罪行為を行い逮捕された場合、会社が被害者に対して責任を負うことはありますか。

A 会社が使用者責任を負う場合には、会社も被害者に賠償責任を負います(不真正連帯債務)。

 被用者である社員が加害者となって犯罪行為を行い、被害者に損害を与えた場合には、被害者に対する直接の責任として、民法709条に基づき損害賠償責任を負います。