トランプリスクで日本に火の粉が降りかかる

 今年11月の米中間選挙では、上院(現在の議席数は共和党53、民主党47※)は約3分の1が改選される。下院(共和党219、民主党213、欠員3)は全議席が改選対象となる。このままトランプ氏の支持率が低下したままだと、下院で共和党は敗北する可能性が高い。焦点は、上院でも共和党が少数派になるか否かだ。※同党系無所属2人含む

 もし上下両院で民主党が過半数の議席を押さえると、「大統領弾劾」の可能性も否定できないだろう。トランプ氏は弾劾を回避できたとしても、政策実行の自由度は低下せざるを得ない。支持率を上げるために、トランプ氏がこれまで以上に強硬策を打ち出すことも懸念される。

 例えば、地下資源をより多く確保して米国を再び偉大にするためにグリーンランド所有を再び狙う。あるいは移民層の支持率獲得を狙い、キューバに圧力をかけるなどだ。

 麻薬など違法薬物対策が甘いとして、メキシコやコロンビアを一方的に非難し、軍事行動を示唆することも考えられる。これまで以上にトランプ氏はハードパワーをベースに政策を推進することが懸念される。

 経済面では、物価と金利の高止まりは支持率低下の主たる要因となる。そのため消費者の負担軽減を重視し、金利引き下げを連邦準備制度理事会(FRB)に強硬に迫るかもしれない。また、貿易相手国を対象に、過剰生産能力の削減を一方的に求め、受け入れない場合は規制や数量制限措置を導入することも考えられる。

 トランプリスクは高まりこそすれ、低下することは考えにくい。それは世界の経済と金融市場にとって重大な阻害要因である。リーマンショック後の状況と異なるのは、現在の世界経済には米国に代わる成長のけん引役が見当たらないことだ。

 米国経済の成長率が低下し、財政が悪化すれば、世界の金融市場の混乱につながる。そうした展開が現実に起きると、わが国にも火の粉が降りかかることになる。

 トランプ氏は、沖縄に駐留する海兵隊の中東派遣を決めたと報じられた。イラン戦争をきっかけにロシアがウクライナへの攻撃を激化させ、エネルギーや穀物価格がさらに上昇する恐れもある。世界経済の先行きは楽観できない。

真壁昭夫さんのプロフィール