スキルの高い理美容師が
あえて1000円カットで働くメリット

 この業界では中小規模の店舗が多く、全国規模で展開するような大企業は稀です。そして、特に小規模の店舗では「雇用条件が改善されない」という問題をなかなか解決できず、長年にわたって長時間労働が常態化しています。

 他にも、無給でカットの練習をしなければならないなど、他業種からは考えつかないような“しがらみ”もあります。そんな旧来的な環境で働き続けることをストレスに感じた結果、より良い労働環境を求めて転職を試みる美容師も多くいます。

 その転職先の候補となるのが、全国規模で展開する1000円カットチェーンです。

 例えば業界大手の「QBハウス」の中途採用サイトを見てみると、東京・神奈川・千葉・埼玉の店舗では、スタイリストの月給は30万円~39万円。店長クラスの月給は37万3000円~47万1000円となっています。

 さらに、住宅補助や引っ越し代金の補助、研修費用補助、ハサミの研ぎ費用補助などの福利厚生も充実しています。一般的な理美容室と比べても、この待遇は非常に魅力的です。

 こうした好待遇は、効率・利益重視を徹底しているからこそ成立します。

 その代表例が、冒頭で述べた「シャンプーをしない」という手法です。お客様の髪を洗わないのであれば、ドライヤーで乾かす必要もありません。シャンプー台の設備も不要です。

 理美容室でおなじみのシャンプー台は、特殊な設備で高額な上、水道を引くにも工賃がかかります。設置後はもちろん、水代やガス代などのコストも伴います。1000円カットではシャンプーをしないことで、こうした費用を大幅にカットしているのです。

 また、「お客様からの予約を受け付けていない」という点も、1000円カットの収益性アップに寄与しています。