イラン国内で代理戦争が起きる可能性
イラン国内で内戦が起きる可能性もある。戦禍が長引くほど、その可能性は高まるだろう。この戦争前からすでに不安定な状態だ。テヘランの淡水貯水池はわずか10%しか水がなく、首都の避難が必要になるかもしれないと警告していた。電力不足は深刻で、19の州が深刻な干ばつに見舞われていた。
つまりトランプ氏の攻撃が、すでに機能不全に陥っていたインフラをさらに破壊した。加えて、海上封鎖によってサプライチェーンが遮断されている。そのためイラン国内でより広範な代理戦争が起きる可能性もある。
西部のクルド人、北西部のアゼルバイジャン人、イラク国境のアラブ・フーゼスターン州、南東部でパキスタンと国境を接するバルーチ人など、その多くは米国やイスラエルの支援を受けるだろう。そのシナリオは深刻で、トルコやパキスタン、アフガニスタンへの大規模な難民と武器の流入が発生するだろう。
米国にとって幸運なシナリオは…
一方で、米国にとって幸運なシナリオもある。新たな最高指導者は、前任アリ・ハメネイ氏よりも権力が小さいとみられ、権力の統合を図るだろう。しかしそれは失敗する可能性もある。すると、国内のエリート層間の抗争が劇的に拡大するかもしれない。
イランは半世紀で神権政治による最高指導者の継承を一度しか経験していないため、移行のための標準的な運用手順がなく、特に戦時下においてはそれが難しい。
そうなれば、統治はイスラム革命防衛隊と軍隊内のより狭いグループに委ねられ、政治権力とレントシーキング※に傾倒することになるだろう。※賄賂の拡大、利権の争奪で新たな富を生み出さずに超過利益(レント)を得ようとする非生産的な活動
それは、制裁緩和と引き換えに米国と建設的に交渉するという、より現実的な意欲につながる可能性がある。イラン国民との意味のある権力分担にはつながらないが、短期的には広範な弾圧は避けられる可能性がある。【談】
>>『イアン・ブレマーが教えるイラン戦争の地政学リスク、プーチンや習近平が予想外の戦略をとりそうなワケ』も併せてご一読ください。








