キャパを超えた仕事を
引き受けてしまう人の深層心理

 最近、「承認欲求」という言葉をよく耳にする。WEB上で気軽に承認をやりとりできるツールが提供されているからかもしれない。

 そして、「承認欲求」と言えば、ある人物のひと昔前を思い出す。

 彼は悪い人ではなかったが、1つだけ褒められないクセがあった。それは「仕事を抱え込んでしまうこと」だった。

 若手で経験も浅かったその人物は、「褒められたい」「失望されたくない」という理由で自分が引き受けられる以上の仕事を引き受けてしまい、結局あとで問題が発覚することもしばしばだった。ええカッコしいのその人物に業を煮やした上司は、一喝した。

上司「その場しのぎで安易に仕事を引き受けるのはやめろ。できないときは、できないと言え」

若手「そういうわけでは……」

上司「実力に見合わないことをしても、認められるどころか信頼を失うだけだ」

若手「私は悪くありません。頼まれたら引き受けてあげたいのです」

上司「違う、おまえは嫌われたくないと思っているだけで、自分の実力を認める勇気もない」

若手「しかし……」

上司「おまえが『できる人間と思われたい』と願っていることは理解できる。だが、自分の仕事を振り返って見てみろ。あせって自分を大きく見せようとするな」

 その人物は、数年後にこう言っている。

若手「怒られてよかった。いいカッコをしなければ、という思い込みが消えたから。『おまえは実力不足』とはっきり言われたので、逆に仕事に集中できるようになったのかもしれません」

評価を気にしない人ほど
周囲から認められる皮肉

 過去の彼のように「手っ取り早く承認を求める人」は、残念ながら社内で大きな問題になることも多い。とくに、それをはっきり言ってくれる指導者がいない場合は、なおさらだ。

 彼らはたとえば、次のような発言をする。

・上司が褒めてくれないので、やる気が出ない
・地味な仕事はだれも認めてくれないので、やりたくない
・見てくれている人がいないので、やめてしまおう
・なぜ、あいつよりオレのところに先に話を通さないのだ
・オレのほうが学歴はいいのに、なんであいつが先に出世するのだ