ぬい撮りは見る人に癒しをもたらす。人間が映らずぬいぐるみしかいない構図は、世界が純真無垢であるかのような安心感をもたらす。……と書くと「人間=けがれ」のようだが、けがれとまではいかずとも「映らなくてもいい要素」であることには違いない。

ぬいぐるみのふわもこ感は
人間との触れ合いとは別のところにある「癒し」

 ぬい撮りの癒しは現実世界での疲れに作用する。そして「現実世界」というのは人間関係のある世界であって、他人(自分以外の人間)はどれだけいい人であろうとも自分に良くも悪くも緊張をもたらすものである。その緊張で凝り固まった心を軽くほぐしてくれる効果がぬい撮りにはあるかもしれない。

 現実・人間を締め出すという意味ではアニメやゲームの世界の方がもっと突き詰めているが、ぬい撮りが行われるのは現実のカフェや公園、ミニチュアのスタジオなどであって、ぬいぐるみもふわもこっとしたフォルムだが現実の物質なので、「現実+擬人化が強められたぬいぐるみのファンシーさ」というギャップと程よい現実味が、アニメ・ゲームには醸しだせないぬい撮りならではの妙味となっている。

 ぬい活をする人もぬい活を通して癒しを得ている。「やわらかい」「ふんわりする」手触りのものを触ったとき、不安感軽減や幸福感を促進するオキシトシンというホルモンの量が増えることが近年の研究によって確認されているという。

 まさしくぬいぐるみの手触りであり、ぬいぐるみを触ると同等の効果が期待できるかもしれない。

※昨今では「ぬいぐるみを触るとオキシトシンが出る」という言説も聞かれるが、それを示す直接的な研究は筆者の方では発見できなかった。

 犬、猫、馬、イルカなどの動物の世話や触れ合いを通して治療効果を得る動物介在療法(Animal-assisted therapy)では、自己肯定感や満足度の向上、感情の安定、ストレス軽減など種々のポジティブな影響を患者にもたらすという。動物との触覚の刺激にとどまらず、「動物は人間を評価してこない」という安心感や、世話をすることによって得られる役割感が得られるためである。