ぬいぐるみは、愛でている人にとっては擬人化されたお世話の対象であり、動物介在療法同様の心理的な安定効果を持つ部分があるかもしれない。

 むろんぬいぐるみは動物と違って世話をする人との間に双方向性はないし、「世話をする責任」を負わされることもない(役割感が薄まる)から、あくまで類似のメカニズムがいくらか再現されている可能性はある、くらいの推論が妥当であろうか。

気分次第で布団から出ていく愛猫
しかしぬいぐるみはその心配がない

 しかし双方向性のない(無反応で一方が自由にできる)ぬいぐるみだからこそ期待できる領域もある。

 たとえば私は就寝時いつも猫を布団の中に連れ込むが、猫の気分次第ですぐ布団の中から出ていってしまうことや、撫でられてゴロゴロ落ち着いているかと思ったら急にものすごい勢いで噛んでくることがある。

 その点ぬいぐるみは布団から出ていったり急に噛んでくる心配はない。自分の安心すべてをぬいぐるみに預けることが可能なのである。

 ぬい活をする人の、ぬいぐるみへの愛着の深さはそれぞれだが、「ぬいぐるみによって人生を救われた」「つらい時、ぬいぐるみがいたからがんばれた」といったような、かなり深い部分でぬいぐるみと連帯している人も散見され、ぬいぐるみが持つポテンシャルに驚かされた。

 関わり方次第で楽しい趣味にも自分を支えてくれるパートナーにもなるのがぬい活である。

「推しのぬいぐるみをかわいがる・持ち歩く」というところから派生してきたぬい活は、日本では推し活文化や、大人が子ども向け趣味(サンリオやアニメなど)を愛することに大きな違和感のない文化的土壌の上に生まれた。

 さらにひとり飯やソロキャンプなど、おひとり様で楽しむことが好まれるご時世でもある。大きなトレンドではないが、流行るべくして流行ったといえるのではあるまいか。

 国内の事情は上記の通りだが、実はぬい活と似たトレンドが世界的に認められる。中国では近年ぬいぐるみ人気が高まっていて、話題のぬいぐるみが品薄で手に入らないこともあるらしい。また、国内でも大人気になった香港発の人形「ラブブ」は韓国でも同様に長蛇の列で求められているとのことである。