2ストか4ストか~ホンダが「環境」を選んだ理由

F:昔のバイクは、多くが2スト(2ストローク=エンジンの燃焼サイクルが2行程)でした。カブも初期の頃は2ストだったのですか?

八:いえ。カブは一貫して4ストです。おっしゃるとおり、昔のバイクは2ストが主流でした。小さなエンジンでも大きなパワーが出せるからです。でもカブはずっと4スト。ホンダは当時から環境のことを考えていたからです。

 ただ過去には一部の地域、特にアタでは2ストモデルを出していた時期もありました。

談笑する八木 崇氏とフェルディナント・ヤマグチ氏Photo by A.T.

ASEAN市場の2スト事情

F:アタ、ですか?

八:失礼。アジア太平洋地域のことを我々は「アタ」と呼んでいるんです。アジアの「ア」と太平洋の「太」。略してアタ(笑)。

F:アタでは2ストのカブを出していた。

八:正確に言うとカブではありません。"カブ的"とでも言うのかな。カブと同じように、またぎやすく低い位置に主要骨格を通した派生モデルの2ストを、ASEAN地域で出していました。

 向こうで売っていた理由はシンプルで、2ストは軽くて構造が単純で、同じ排気量ならより元気よく走れるからです。坂道での力強さや加速感も欲しい。荷物もたくさん載せたい。2人乗りもしたい。でも価格は抑えたい。そういう市場では、2ストが圧倒的に有利だったんです。

F:なるほど。初期の普及のためにはシンプル+パワフル+安価な2ストが欠かせないと。