永守ニデック 最終審判#11Photo:SANKEI

不適切会計疑惑に揺れるニデックが「改善計画」を東京証券取引所に提出した。上場廃止という最悪の事態を回避できるか、そして自らの手で統治の歪みと向き合えるのかーー。ニデック経営陣に突き付けられた、最後の説明責任の場でもある。果たして、ニデック経営陣は“自主点検”という名の下で、真相究明に踏み込めたのか。責任の所在は明らかにされたのか。特集『永守ニデック 最終審判』の#11では、改善計画を丹念に読み解き、三つの視点からその本気度を検証する。(ダイヤモンド社メディア局論説委員 浅島亮子)

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自主点検の本気度はどこまで?
改善計画から読み解く「三大視点」

 これで、“自主的な”みそぎは済んだといえるのか――。

 1月28日、ニデックは内部管理体制の是正を目的とした「改善計画・状況報告書」を東京証券取引所に提出した。一連の不適切会計疑惑を受け、社内に設置した「ニデック再生委員会(委員長は岸田光哉社長)」が、取締役や執行役員ら26人に加え、国内外のグループ役職員へのヒアリングを基に取りまとめたものだ。

 外部の弁護士や公認会計士で構成される第三者委員会の調査とは異なり、今回の報告書は、あくまでニデック自身による“自主点検”の総括である。

 言い換えれば、内部統制や組織風土の問題をどこまで自ら検証し、何を課題として認め、どのような再発防止策を打ち出したのか。上場廃止という最悪の事態を回避できるかどうかを見極める、ニデック側に残された重要な説明責任の機会ともいえる。

 当日の会見で岸田社長は、「高い倫理観で『正しい』を最優先する企業へ生まれ変わる」と強調した。では、この報告書は、不適切会計問題の真相究明にどこまで踏み込めたのか。本稿では、次の三つの視点から検証する。

 第一の視点は、ニデックの現経営陣が、不適切会計疑惑の原因をどこに求め、何が「問題の本質」として整理したのかである。

 ダイヤモンド・オンラインはこれまで、創業者・永守重信氏(昨年12月にグローバルグループ代表などを辞任。現名誉会長)を中心とする統治体制に焦点を当て、三度にわたる特集を組んできた。とりわけ、幹部人材の流出を報じた記事は訴訟に発展し、永守氏の意思決定システムや人事権の集中が争点となった。ニデックは当時、「永守氏の独断で業績目標や人事が決まることはない」と強く反論していた。

 今回の報告書で、現経営陣が、こうした企業統治の在り方を、自らの言葉でどのように評価したのかがポイントだ。

 第二の視点、不適切会計疑惑に対する自主点検の「射程」だ。対象は車載事業が中心なのか。あるいは全社、グループ会社全体にまで及んでいるのか。調査範囲の設定は、ニデックが今回の問題に端を発した再生計画に踏み込む覚悟の度合いを映している。

 第三は、最も肝心な点である。永守氏を筆頭とする経営幹部の関与と責任は、どこまで明確にされたのか。さらに言えば、その責任を負うべき人物に対して、処分という形で踏み込むのかが問われる。ここを曖昧にしたままでは、いかに立派な再発防止策を掲げても、説得力に欠けることになるだろう。

 次ページでは、この3点について、報告書の記述と元幹部の証言を突き合わせながら検証する。