また、スマートフォンにマイナンバーカードの機能を搭載しておけば、いつも持ち歩いているスマホがマイナ保険証の代わりに利用できる。

 事前にマイナポータルアプリをダウンロードし、スマートフォンをマイナンバーカードとして利用するための申請・登録をしておけば、医療機関や薬局でのスマホをかざすだけで健康保険の資格情報の確認ができる。

 現状では、全ての病院や診療所、薬局でスマートフォンのマイナ保険証に対応しているわけではないが、今後、利用可能な医療機関は広がっていく予定だ。

健康保険法の施行から来年で100年
被保険者証は厚紙からスマホへ

 労働者のためにつくられた健康保険法が施行されてから、来年で100年になる。『実務家必携健康保険手続早わかり』(健康保険事務研究会編・章華社)によると、当時の被保険者証は厚紙を二つ折りにしたもので、サイズは「縦約十五糎(㎝)、横約十糎(㎝)」。現代のおくすり手帳と同じサイズを想像するとイメージしやすい。

 この表紙である第1面に、被保険者番号、氏名、性別、生年月日、業務種類、事業所の名称と所在地などの資格情報が記載され、被保険者が自分の住所や氏名をサインすることになっていた。

 また、第4面には、「注意事項(きをつけることがら)」として、健康保険証が被保険者の資格情報を証明する書類であること、医療機関で健康保険証を見せれば無料で医療を受けられることなどが、分かりやすく書かれていた。

 漢字の読めない労働者が多数いたこともあり、漢字のすべてにルビがふられていたのも興味深い。

 その後もこの様式は踏襲され、被扶養者制度の導入後は、本人の被保険者証に扶養家族の資格情報も記載されるようになった。だが、家族単位の被保険者証は不便も多く、2000年代に個人ごとに発行されることになり、名刺サイズのカードタイプへと切り替えられていった。

 そして、健康保険法の施行から99年後の現在、被保険者証はマイナンバーカードに吸収され、スマートフォンでも資格情報が確認できるように変わってきた。厚紙を二つ折りにし、手書きで資格情報を書き込んでいた初期の被保険者証とは隔世の感がある。

 このように公的医療保険の資格確認の方法は時代とともに変わってきた。だが、どんなに時代でも、被保険者証に求められるのは、適切な資格確認のもとで、患者が少ない負担で必要な医療を受けられる体制をサポートするものであることだろう。

 制度の移行期間は予想外のことも起こるが、マイナ保険証は未だにトラブルも報告されており、それが普及の妨げにもなっている。マイナ保険証による資格確認が医療の効率化を進め、スムーズな診療を行うための信頼できるシステムになっていくことを願いたい。