仕事は1日につき
1タスクに調整する

「仕事が速いですね」とよく言われます。

 私には期限を守るという哲学があります。仮に私の仕事が「速い」とするなら、そのことと無関係ではないのでしょう。

「仕事が速いですね」と褒められたとき、表面的には「ありがとうございます」と感謝の気持ちを述べます。もちろんそれはウソではなく、褒めていただいたことに心から感謝の気持ちを持っています。

 一方で、その裏ではこんなことも考えてしまっています。

「この人は、私の仕事が速いと誤解しているな」

 速いとは、速度という言葉があるように、スピードがあるということだと思います。しかし私の仕事術は、スピードがあるのではありません。

 たとえばパソコンのタイピングも遅い。インプットのために読書をたくさんしますが、速読とは程遠いくらい読むのが遅い。いろんなタスクを同時進行でパッパと片づける、いわゆるマルチタスクのような能力もありません。私は究極のシングルタスク脳です。具体例をいくつかご紹介します。

 たとえば私は1日の過ごし方として、午前中は書籍の執筆をして、午後は企業の研修に登壇し、夜は別件で打ち合わせをする、といった形がとても苦手です。できるだけ仕事は1日につき1タスク(1テーマ)となるように調整し、「今日はある事柄だけ考えていればOK」な状況を目指します。もちろん365日それを完璧に実現することは不可能ですから、できるだけそれに近づける、という考え方です。

 もっとカジュアルな例を挙げるなら、仕事のことを考えているときには、家族から話しかけられても聞いているフリはしますが、聞いていません。聞いていないというよりは、聞くことができないのです。申し訳ないとは思っていますが、できるだけ「ある事柄だけ考えていればOK」な状況を目指してしまうのです。

 私は「速度」があるわけではないのです。では、どうして人から「速い」と思われるのか。次の論理がその答えです。

 することが少ない→結果として早い→人はそれを速いと誤解する