ドローンだけじゃない!AI利用の実態

 米国とイスラエル、そしてイランもAIを戦闘に本格投入したことが明らかになっている。1月、米国はAIモデルでベネズエラ攻撃をシミュレーションし、迅速に攻撃を実行した。マドゥロ政権は十分に対抗できず崩壊した。

 一方、今回のイラン戦争ではAIをシミュレーションや作戦構想だけではなく、実際に戦場で使う兵器にも応用しているという。敵のシステムにハッキングして多くの情報を入手し、AIを使って解析、重要人物の暗殺に使うケースもあったと報じられている。AI搭載のドローンも使われている。

 米国はAIで攻撃目標を定め、短時間でイランに多大な損害を与えたもようだ。米軍の意思決定に重要な役割を果たしたAIは、パランティアが中心となって開発したメイブン・スマート・システムと報じられている。アンソロピックのAIモデルが、メイブン・システムの性能向上に重要な役割を果たしたとの指摘もあった。

 AI兵器の威力はかなり大きい。作戦開始から24時間で、米国は1000以上の標的を攻撃したとみられる。人間の能力だけでは、標的の策定や攻撃の意思決定は間に合わないスピードであろう。作戦に関与した人員数も減ったという。

 2003年のイラク戦争の際、米国は2000人ものデータアナリストらを投入したといわれている。それに比べて今回の人員数は20人程度で済んだようだ。人材育成と練度向上の点でもAIのインパクトは大きい。

 イスラエルは、主に「ハブソラ」と「ラベンダー」という2つのAIを使って、イランを攻撃したようだ。前者はデータ分析により攻撃対象をリストアップする。後者は個々人の行動データを分析し、戦闘員であるか否かなどを評価して攻撃する。2つのAIシステムはハマス攻撃で導入済みだったといわれている。

 それに対して、イランはAIを搭載した安価なドローンで対抗した。この効果が端的に表れたのが、ホルムズ海峡の封鎖といわれている。無人飛行ドローンの「Mohajer-6」や「Ababil-5」はAIを搭載し、GPSが接続されていない環境でも自律攻撃を行うという。

 機雷敷設に加えてドローンで船舶攻撃を行った結果、海運や保険会社はホルムズ海峡の航行が危険と判断した。これが、イランによるホルムズ海峡封鎖の実態といわれている。戦闘が長引いているのは、イランのAI搭載ドローンの運用体制が、米国やイスラエルの想定以上だったことも影響しているだろう。