軍事にAI利用ルール策定は必要
現在、主要国の政策は、AIのデメリットを抑える方向に動いているとは言い難い。特に、トランプ政権のAI政策には不安が募る。それは、トランプ政権とアンソロピックの対立からも確認できる。
トランプ政権は、大統領が主張する合法的用途で、AI利用を無制限に認めるよう義務付けようとした。しかしアンソロピックのアモデイCEOは、人々の監視や完全自律型兵器にAIを使うことに明確に反対し、政府と対立。トランプ政権は、アンソロピックを政府調達禁止リストに掲載した。
トランプ氏は、自らに従わない個人や企業に極めて厳しい措置を取る。AIの戦争利用を巡る議論から、トランプ氏は法の秩序を無視しているように見える。AI兵器の危険性は一段と高まると想定すべきだろう。
現在、世界的なAI利用、特に軍事利用に関する議論は複数ある。代表例は、国連は自律型致死兵器システム(LAWS)規制の成立を目指している。しかしこれに対して、米中ロは反対している。
仮に、国連の規制が成立したとしても、反対意見で骨抜きになる恐れがある。そうした中、少しでも実効性を高めるためには米国以外の主要先進国と、米国との安全保障を重視してきた新興国などが連携することが大切だ。
相対的に効果が期待できる規制案のひとつは、AIに関するEU市場規制だ。欧州委員会はLAWS利用の危険性を指摘し、厳格な規制(禁止を含む)の策定を目指しているといわれている。脱炭素に関する国際ルール策定主導のように、欧州諸国のルール策定・運用能力は高いとの指摘も多い。
わが国もこれをうまく利用し、AIの安心安全な利用体制の確立を目指すべきだ。その際、アジア新興国の賛同をできるだけ多く獲得できれば、AI兵器の開発、運用に関する国際ルール策定の可能性は高まる。
そうした取り組みを今から進めることが、わが国のみならず、世界全体の経済安全保障体制の安定に必要なことといえる。








