村野 ここで「スケーラビリティ」が重要になります。「ちょこちょこ買って、年に何発かだけ増える」ではなく、使い捨ての無人機を数百、数千単位で一気に買って、来年投入できる体制を整えるということ考えるべきです。そうなると、防衛調達のやり方を根本的に変える必要があるかもしれません。

小泉 「政治家が大量の損害が出る作戦を決断できるか」という問題とも結びついてくるわけですね。ある程度無人化されて、「軍事作戦の遂行が即、大勢の自衛官の死にはつながらない」という防衛力を持っておかないと、そもそも抑止の信憑性が保てない。「我々が軍事力行使をするとき、日本人は自衛官や一般国民の命を危険にさらしてでも抵抗することはないだろう」と見られかねない。

村野 大金を出して買ったものだからと大事に使うのではなくて、「これは訓練された貴重な自衛官や国民を守るために、攻守両方の場面でデコイ(囮)として大量に消費するもの」ということを国民にも理解してもらわないといけない。

 艦隊防空ではこうした発想が取り入れられ始めています。地上の固定基地は場所がわかっているので、生存率を高めるためには抗堪化する以外にありません。しかし、水上艦艇の場合、周りに艦艇の電子的な特徴や熱源を模擬したデコイを展開することで、高価な迎撃ミサイルを使わずに、敵のミサイルを浪費させることができます。

日本の協力を得るために
アメリカが気を遣うことはない

編集 お訊きしてもいいですか?日本にとってアメリカは防衛の要ですが、アメリカにとって日本はどうなんでしょう。台湾有事も考えられる状況で、「日本を脱落させてはいけない」というアメリカ側の意識があると思います。アメリカは、例えば台湾有事の際、「日本が基地を使わせたがらない、あまり協力的じゃない」といった、日本が離れうるリスクをどの程度考えているのでしょうか?

小泉 アメリカにとっての日本の存在感ですか。それも考えておく必要がありますよね。とはいえ、日本にとってのアメリカの存在感と非対称なのは、やむを得ないのかな。

村野 アメリカは「日本の基地は基本的に使えるものだ」という前提なんですよね。先ほどのCSISのウォーゲームでも、台湾有事に中国側を勝たせる道筋を見せる条件づけとして、「日本が在日米軍基地の使用を許可しない」というシナリオを意図的に作ったわけです。