任務の最終段階で核爆弾の遠隔操作ができなくなる。地球を守るためには、誰かが小惑星にとどまって起爆スイッチを手動で押さなければならない。
「地球のために誰かが死ななければならない問題」の発生です。誰が死ぬのか、あるいは、自らの命をどう使うか。娘の恋人AJがその役となるクジを引き当てますが、土壇場でハリーが強引に入れ替わって残りました。
坂元:入れ替わったハリーがAJに向かって「娘をよろしく頼む。それがおまえの仕事だ。グレースにふさわしい夫になるんだぞ」と告げます。さらに、地球にいる娘のグレースとの最後の交信で、それまでのすれ違いやわだかまりが消え、父と娘の心が通じ合う……。
わたしはあの最後の交信のシーンで2人が「父と娘に戻った」んだなと思いましたよ。娘が小さい頃に「お父さん大好き」と言っていた、あの関係に戻ったのだと。
愛する人を守るため
命を投げうち未来へ繋げる
井上:全米が泣いた名場面です。娘の未来を守るために己の命を使う任務に臨むことで「父になる」。特攻文学的な意味で「父になる」とは、親密さを取り戻すことではなくて、子の「未来」と引き換えに自らの「死」を引き受けたときなのですよね。悲しいけれど……。
坂元:土壇場で自分が身代わりとなって特攻役を引き受け、若い世代に命のタスキを繋ぐ。これって『永遠の0』(2006年)と似ていませんか。
井上:「身代わり特攻」パターンですね。『永遠の0』と他の作品との関係はいろいろ指摘されていますが、《アルマゲドン》は重要な先行作品に位置づけられると思いますよ。実際に参考にしたかどうかはともかく、全米が泣いた映画作品と、全日本が泣いた創作特攻文学とのあいだに、感動の構造の共通性があっても、まったくおかしくない。
坂元:余談ですが、映画の序盤で、グレースとAJの2人がベッドの中にいるのをハリーが目撃して、ショットガンを持ってAJを追いかけ回しますね。できちゃった婚のことを英語でショットガン・ウェディングと言うのですけれど、たいてい娘の父親がショットガンを持って男のところに乗り込んできて、銃口を突きつけながら結婚を迫るからという意味なので、ラストを示唆するシーンだったのかも。







