歌手の加藤登紀子さん加藤登紀子さん 提供:トキコプランニング

歌手生活60年になる加藤登紀子が、これまでの人生で経験した「まさか」のエピソードをつづる。ゴスペラーズのリーダー・村上てつやに作ってもらった曲「花筐」にまつわる「ま・さ・か」と、そこから連なる「愛用のギター」が生んだ奇跡とは?※本稿は、歌手の加藤登紀子『「まさか」の学校』(時事通信社)の一部を抜粋・編集したものです。

ゴスペラーズの村上てつやさんが
作った歌にこめられた意味

 偶然が驚くような符号となって深い縁を繋ぐことがある。2002年、ゴスペラーズのリーダー村上てつやさんに「何か曲を作ってくれませんか」とお願いした。

 もうすっかり大御所と言っていい人気グループになっていたけど、私が村上てつやさんを知ったのは、まだ彼らが早稲田大学のサークルで、アカペラコーラスをスタートさせた頃。

 知人のライターさんに、「すごいグループが出てきたわよ」と教えられたのがきっかけだった。その彼らが「ゴスペラーズ」としてメジャーデビューしたので、私のコンサートのゲストに呼ぼうかとプランしたこともあったのだけど、あっと言う間に売れっ子になりスケジュールが取れなかった。

 そんな経緯もあって、その後もずっと目をみはるような活躍に注目してきたのだった。

 村上さんから届いた曲は「花筐」という曲だった。

 作曲を依頼した時には普通メロディーだけ届く。でもこの曲にはタイトルがついていた。そして初めてその曲の打ち合わせをした時、彼がこう言ったのだ。

「登紀子さん、この『花筐』っていうタイトル、古い謡曲から来てるんですけど、『花の筺』という意味の他に『棺』という意味があるらしいんですよ」と。