ワースト質問
第4位〜第1位がこちら
【第4位】
「愛読書は何ですか」
雑談のつもりで聞かれることが多い質問ですが、読書の趣向や購読紙はその人の思想・信条を反映する可能性があります。
厚生労働省が公表する採用面接のガイドラインでも、「本人の能力や適性に関係のない個人の思想・信条に関わる項目」は避けるよう明示※されています。支持政党を聞くのと同様、個人の自由に属する領域であり、採否の判断基準に用いることは基本的人権の侵害につながりかねません。こういった質問を何の躊躇もなく行う企業は、コンプライアンス意識が低く、個人の自由を尊重しない風土がある可能性があります。
【第3位】
「それって、うちの会社じゃなくてもできますよね」
相手を試したり否定的な文脈で問い直す、圧迫面接の典型です。候補者の心理的安全性を著しく損なって「この場では正直に話してはいけない」と感じさせます。こういう問答が日常的な職場では、ミスが隠蔽されやすく、周囲の顔色をうかがうことにエネルギーが割かれます。これでは、本来発揮すべき創造性や主体性が奪われてしまいます。
【第2位】
「結婚や出産のご予定はありますか」
悪意はないことが多いのですが、結婚・育児の予定を聞くことは性差別につながります。背景には「女性は出産したら残業できない」「出産したら辞めるのでは」という偏見があります。もし残業対応を確認したいのなら「繁忙期には月○時間程度の残業が発生しますが、対応可能ですか」と直接聞けばいいだけです。
婉曲的に聞くことで、かえって候補者を疑心暗鬼にさせます。ダイバーシティ意識の高まりが当たり前になっている今、個人のライフプランを制限しようとする組織からは優秀な人材が離れていきます。
【第1位】
「ご両親はどのようなお仕事をされているんですか」
家族の職業や家庭環境を問うことは、本人の努力ではどうにもならない要素を採否に結びつけかねません(厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」)。※こういった質問が飛び交う職場では、成績が振るわないときに「あいつはああいう家庭環境で育ったから」、活躍しているときは「育ちがいいからだ」という評価がまかり通ります。個人の資質ではなく出身や背景を理由に人を色眼鏡で見る文化の現れです。悪気なく「雑談のつもり」で聞いてしまうことが多いのが、この質問の厄介なところです。
雑談にも潜む罠
悪気なく「アウト」になる例
第1位と第4位には共通のパターンがあります。候補者が自ら触れた話題に面接官が深く突っ込んでしまいかねないという点です。「三連休は本を読んでいました」という話から「どんな本ですか」と続けてしまう。あるいは転職理由の話のなかで「実家が家業をやっていて」という話が出たとき「どんな家業ですか」と聞いてしまう。悪意がなくても問題のある質問です。
こうした「うっかりアウト」は、面接のアイスブレイクや雑談の場で特に起きやすいものです。緊張をほぐすつもりで始めた軽い会話が、知らぬ間に不適切な領域に踏み込んでしまう。
面接官としては「気さくに話しかけているだけ」のつもりでも、候補者からすると「なぜそれを聞かれているのか」と警戒心が生まれます。雑談だから何を聞いてもよい、ということにはなりません。面接の場では業務上の直接的な関連がないテーマには、たとえ会話の流れで出てきた話題であっても、それ以上踏み込まないことが原則です。
候補者が自ら話した内容であったとしても、採否の判断に用いることが問題になるという点は変わらないことを、面接官は常に念頭に置く必要があります。
もし最悪の質問をされたら?
候補者が取るべき自衛策
では、こういった質問を受けた候補者はどう対応すればよいのでしょうか。
すぐに「この会社はやめよう」と判断するのではなく、まずは「すみません、今の質問の背景を教えていただけますか」と意図を聞き返してみることをお勧めします。
「なぜその質問をされるのですか」と柔らかく聞き返されると、面接官は面食らいます。「繁忙期の残業対応を確認したかった」という合理的な説明が返ってくれば話を続けられます。しかし「女性って、いずれ結婚して子どもを産むでしょう。働けなくなるだろうと思って聞いています」という返答だったとすれば、それは明確にアウトです。
大切なのは、意図がわからないまま不快感だけを抱え込まないことです。
面接官が「申し訳ありません。実は繁忙期に残業が発生するため、今後の働き方のご予定を確認したかったんです」と業務に関連する妥当な理由を説明してくれたなら、明確な意図がわかって、あなたも「そういうことでしたら、ライフイベントが重なっても長く働き続けたいと考えています」と前向きに適切に答えることができます。
今回のワースト質問に思い当たることがある採用担当者や、面接官になる可能性のある現場の方は、ぜひ自社の面接を見直してみてください。無自覚なまま繰り返されやすいからこそ、一つひとつの問いを点検することが、組織文化を問い直すことにつながります。
※Feldman, D. (1976). A Contingency Theory of Socialization. Administrative Science Quarterly, 21, 433-452.








