アメリカの「パートナー」になれないドイツ
なぜドイツは、日本のようにアメリカと武器を共同開発する「対等なパートナー」になれないのだろうか。
一つには産業構造の問題がある。ドイツの防衛産業はラインメタル社に象徴される地上戦・装甲車両分野に強みを持つ一方で、アメリカが最も共同開発したい航空・海洋・宇宙・電子戦分野では技術的な補完関係が成立しにくい。
それに対して日本は、精密機械・半導体・センサー技術でアメリカと補完関係が成立する。日英伊によるGCAP(次期戦闘機)についても、日本の持つ技術がイタリアやイギリスと重ならないことで真の補完関係が成立しており、日本のオリジナル技術は多国間連携との相性が良い。
二つ目は地政学的な「当事者性」の差である。日本はインド太平洋における対中抑止の最前線にいる当事者であり、アメリカからすると共同開発の動機が明確だ。ドイツはNATOの多国間枠組みの中に埋め込まれており、米国との二国間共同開発の優先順位が上がりにくい。
三つ目はトランプ政権の基本認識にある。トランプにとってドイツは「安保はアメリカ頼み」「貿易黒字には手を付けない」というフリーライダーの典型に見えている。
それに対して日本は、バブル期に貿易黒字を批判されたことで内需拡大を進めると同時に、フリーライダー論を抑え込むために、在日米軍への思いやり予算、大規模な対米直接投資、対中抑止への貢献などを地道に重ねた。そして、安倍政権以降は「対等な立場に近づこうとしているパートナー」という位置づけを徐々に確立している。
冷戦期には、豊かな西ドイツは「自由主義陣営のショーウィンドウ」として対ソ宣伝効果があり、その頑強な経済力がNATOの負担を支えていた。かつては「安保はアメリカ、経済はドイツ」という分業がウィンウィンの関係を成立させていたのである。
ところがここに来て、アメリカにとって「ドイツの経済成長がメリットにならない」という構造問題が、あらゆる方面からドイツの同盟としての存在価値を削り取っている。







