海外富裕層は外資系の
ホテルや航空会社を選ぶ

 日本流「おもてなし」で頭に浮かぶのが、帝国ホテルなど老舗ホテルや旅館、三越伊勢丹や高島屋といった百貨店だ。同じく、ANAやJALなど航空会社もそうだろう。

 しかし日米路線でも、好んでユナイテッド航空(UA)やアメリカン航空(AA)など米系航空会社を選ぶ外国人エグゼクティブや富裕層も多かったりする。

 日本人にとっては、どうみても日系エアラインの方がもてなしに厚く、丁寧で快適、なにより清潔だと感じる。

 それでも米国系航空会社をチョイスするのは、英語がより通じる、マイル会員である、母国のフラッグシップキャリアだから、アプリで予約や変更が簡単、入出国手続きがスムーズなどといった理由だけではない。

 筆者の経験則から紐解くと、日本の高級ホテルや高級旅館より、外資系ラグジュアリーブランドホテルが選ばれるのと同じ理由にたどり着く。

 つまるところ、彼ら彼女らは、曖昧模糊としていて属人的な「おもてなし」よりも、グローバル・スタンダードなサービス、安心感や信頼感を求めているのだ。

 我々がそうであるように、インバウンドは世界遺産など有名観光地や自然、現地の食事、買い物などがその目的となる。

 無論、治安など安全性が担保されていることが大前提であり、その上で、一部の富裕層を除けば、航空券や滞在費など費用や日程も当然、旅先を選ぶ際の決定要因になる。

「おもてなし」が「日本はいい国」のイメージを後押ししている面は否定しないまでも、それ自体を求めてインバウンドが来日している訳ではない。

 そもそも日本流「おもてなし」は彼ら彼女らの日常にはなく、自国と同じような接客サービスや応対、または、いわゆるグローバル・スタンダードなサービスのほうが価値は高いのだ。

 訪日するビジネスマンや富裕層が泊まりたいのは、ドメスティックなホテルや旅館ではなく、ヒルトンやマリオットだったりする。その需要をたくみにマーケティングし、外資系高級ブランドホテルの進出ラッシュが続いている。

 換言すれば、グローバル・スタンダードなサービスこそ、顧客の求める「おもてなし」なのではないだろうか。