エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】#2Photo by Koyo Yamamoto

2026年3月期決算でホンダと日産自動車は巨額の最終赤字を計上し、「負け組」となった。しかし、同じ負け組でも、両社にとって米国に次ぐ販売台数で、負け組から脱出するための鍵を握る中国事業を見ると、明暗が分かれている。実は、中国市場において日産はホンダより一歩どころか「二歩」先行しているのだ。特集『エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】』の本稿では、ホンダと日産の中国事業を徹底比較する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

26年3月期決算、ホンダと日産共に巨額の最終赤字
ホンダは四輪事業をハイブリッド車中心で立て直し

 かつて、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダは、国内3強の自動車メーカーとして、「TNH」と呼ばれたが、もはや死語といってよい。日産とホンダは、「負け組」となった。

 日産の2026年3月期決算は、売上高が前期比4.9%減の12兆0079億円、営業利益は同16.9%減の580億円、最終損益は5331億円の赤字(前期は6709億円の赤字)だった。資産の減損損失で約3600億円、再建計画に関するリストラ費用で約1250億円を計上したことが2期連続の最終赤字を招いた。

 ホンダの同決算は、売上高が前期比0.5%増の21兆7966億円、営業損益は4143億円の赤字(前期は1兆2135億円の黒字)、最終損益は4239億円の赤字(同8358億円の黒字)に転落した。EV(電気自動車)関連損失で、1兆5778億円を計上し、1957年以来初の最終赤字に沈んだ。40年までに新車販売の全てをEVまたはFCV(燃料電池車)とする「脱ガソリン」目標を撤回し、ハイブリッド車強化を打ち出すなど、四輪事業の大幅な戦略変更を迫られている。

 日産とホンダは、巨額最終赤字の「負け組」として共通するが、中国事業に限れば明暗が分かれている。中国市場は、両社にとって、米国市場に次ぐ販売台数で、世界販売台数の20%程度を占める。トランプ関税で、米国事業の利益が押し下げられる以上、中国事業は、両社が負け組から脱出するためには極めて重要だ。

 まずは、日産の中国事業を見てみると、26年3月期の中国販売台数は65万台で前期比6.3%減となったが、下期のみに限れば前年同期比4.5%の増加で、明るい兆しが見えている。27年3月期は71万台の販売を見込み、増加率は8.7%と主要市場で最も高い。日産のイヴァン・エスピノーサ社長は、「中国の販売台数増は、(販売奨励金など)インセンティブ頼りになっているわけではなく、(EVなど)新エネルギー車の新型車のおかげだ」と手応えを語る。

 一方のホンダの26年3月期の中国販売台数は、前期比23.8%減の61万台、27年3月期も18%程度の減少を見込み、50万台程度に落ち込む予想だ。ホンダは、中国で120万台の生産能力を持つが、26年6月ごろをめどに、24万台分の生産ラインを休止する。26年3月期の工場稼働率は、53%程度だったとみられる。

 ホンダの滝沢一浩四輪事業本部長は、「(27年3月期が販売の底という)想定であれば、工場休止等の判断をしていない」と明かし、28年3月期も販売減少が止まらないとみる。

 なぜ、ホンダと日産の中国事業は、明暗が分かれているのか。実は、原価低減や中国企業との付き合い方、そもそものクルマの造り方などさまざまな点で、日産の中国事業は、ホンダより一歩どころか「二歩」進んでいるのだ。

 次ページでは、ホンダと日産の幹部らへの取材とともに、中国事業について徹底比較する。