JR東日本はタッチレス改札の開発研究にあたり、さまざまな技術を試してきた。2000年代後半は電波を用いて専用のICタグを読み書きする「RFID(Radio Frequency Identifier)」、2010年代前半は体を流れる電流を用いた「人体通信」、そして2016年以降はミリ波を選定した。

図表:構成品、処理の流れJR東日本ウェブサイト「イノベーション」より抜粋 拡大画像表示

 ミリ波を用いた改札機は、昨年11月に開催された鉄道技術展でも展示されたように、完成度の高いものだった。スマホとの無線通信だけでなく、専用端末(ケース)に通常のSuicaを入れるだけでタッチレス利用が可能という実用的なものであり、これが本命なのかと思っていたが、ここにきて新技術が登場した。

派手さはないが現実的
JR東日本の次世代Suica戦略

 今回、公開されたウォークスルー改札は、低電力で数センチ単位の高精度な位置測位が可能なUWB(Ultra-Wide Band 超広帯域)電波を使用している。UBW通信機能を搭載した携帯端末は近年、増えつつあるが、位置測位や空間認識など利用範囲は限られている印象だ(筆者も今回の取材まで所有するiPhoneに搭載されていると知らなかった)。

 ミリ波方式の開発は行き詰ってしまったのか。同社に聞くと、そう単純な話ではないようだ。ミリ波方式でも現行Suicaと同等の処理速度は可能だったようだが、ミリ波アンテナを内蔵した専用端末が必要などのネックがあった。各方式を比較検討した上で、現時点でUWB方式を本命に定めたという。

 デモ展示では、UWB機能を搭載したデモ端末と、通常の自動改札機に後付けしたアンテナが通信し、1センチ単位の距離測定を行う。今回は端末とアンテナが130センチ(実際の運用は未定)以内に接近すると入場判定する設定にして、ベビーカーにスマホを乗せて通過したり、アンテナと反対側のズボンのポケットにスマホを入れたまま通過したり、さまざまなケースに対応できることが示された。

ウォークスルー改札をベビーカーで通る様子ベビーカーを押しながらでも自動的に扉が開く(筆者撮影)