「ゲル状」に変えるだけで、なぜ燃えなくなるのか

「燃えやすい」という、従来のリチウムイオンバッテリーの最大の欠点。これを解消したとして注目を集めているのが、半固体バッテリーだ。

 半固体バッテリーもリチウムイオンバッテリーの一種だが、その名の通り、液体の電解質ではなくゲル状の電解質(半固体電解質)を採用していることが特徴だ。ゲルとは、液体と固体の中間的な性質を持つ物質であり、ゼリーやこんにゃくをイメージしてもらうといい。メーカーによっては「準固体バッテリー」と呼ぶところもあるが、基本的に同じものである。

 ゲル状の電解質は、有機溶剤ではないため燃えにくい。万一ショートが発生しても、その周囲に熱に強い保護膜が瞬時に形成され、異常がバッテリー全体に広がることを防ぐ性質もある。また、ゲル状の電解質が正極と負極の間に安定して存在しているため、セパレーターが破損しても構造が崩れにくいこともメリットだ。

 さらに、リチウムイオンバッテリーでは充放電を繰り返して劣化が進むとガスが発生し、バッテリーが膨らむことがある。膨らんだバッテリーは発火の危険性が高まるが、半固体バッテリーではその危険性もほとんどないと、株式会社バッファロー 周辺機器開発部 サプライ開発課の村瀬正美氏は説明した。「リチウムイオンバッテリーでは有機溶剤が気化してガスになり膨らむことがありますが、半固体バッテリーでは液体部分が非常に少ないため、膨らむことはほとんどありません」

 取材時、実際に半固体バッテリーを分解したものを見せてもらった。電極に塗られている黒い粉のような物質がゲル状電解質とのことで、確かに液体感はなく、むしろ乾いている印象だった。

半固体バッテリーを分解したもの半固体バッテリーを分解したもの。黒い粉のような物質がゲル状電解質 Photo:Diamond