物価高への家計の所得下支え策として、食料品の消費税減税を掲げている高市首相Photo:SANKEI

食料インフレは今夏以降に再燃
消費減税で「中間とりまとめ案」提示

 中東情勢は、米国とイランの間で暫定的な停戦が合意され、和平に向けた協議が始まったが、その帰趨は依然として不確実性が大きい。当面は紛争終結に向けた覚書(MOU)の履行を見極める局面となるが、最終合意に向けて夏場まで不安定な動きが続くとみている。

 対立はひとまず緩和に向かっているが、機雷除去、海上保険料高騰、船舶手配の遅れなどから、ホルムズ海峡の通航量が正常化するには半年程度を要するとみられ、周辺諸国を含め石油設備の被害が大きければさらなる後ズレも考えられる。

 原油価格(WTI先物価格)は、6月下旬に1バレル70ドルを切ったとはいえ、世界的な流通減が続く中で、当面は需給ひっ迫から戦争前対比で高い水準が続く可能性が高い。

 資源価格の高止まりは資源輸入国である日本にとって交易条件の悪化(海外への所得流出)に直結し、円安進展と相まって原材料、エネルギー、包装・資材、物流などのコスト上昇につながる。飲食料品なども今夏以降に広範な値上げラッシュが続く見通しで、今年に入り前年比プラスで推移している実質賃金は秋以降に再びマイナス化する可能性がある。

 政府が描く「実質賃金のプラス継続→個人消費の回復」のシナリオに暗雲が立ち込めてきたといえるだろう。

 高市首相は物価高への家計の所得下支え策として、食料品の消費税減税を掲げており、6月24日には、社会保障国民会議の実務者会議で、議長を務める自民党の小野寺五典税制調査会長が具体化の「中間とりまとめ案」を示した。

 同案では、2027年4月から2年間限定で食料品の消費税率を「1%」に引き下げるほか、中低所得層の手取り増加と就労支援策として、給付付き税額控除(所得連動給付)を27年度から先行導入するとしている。

 機械的な試算では、消費税率1%となれば、消費者物価を1.3%Pt程度引き下げるとともに、GDPを0.2%程度押し上げる効果が見込まれる。

 しかし、価格転嫁が想定以上に広がることでインフレが加速する可能性がある一方、消費減税の財源(1%への引き下げであれば約4.4兆円)は依然として不透明だ。

 仮に、財源確保に難航して赤字国債の増発を余儀なくされるということになれば、円安加速を通じて輸入物価などがさらに上がるほか、長期金利の上昇が投資行動の重しとなることで、減税効果が減殺されるリスクがあることには注意が必要だ。