高市政権“責任ある積極財政”の本質は「高圧経済」、インフレ加速だけで終わらないための重要ポイントPhoto:SANKEI

続く株高・円安・長期金利高
背景にインフレ懸念の強まり

 高市政権が発足して約1カ月、憲政史上初の女性首相誕生となったが、金融市場は、第2次安倍政権が行ったアベノミクスの継承者といわれる首相の積極財政・金融緩和路線をおおむね好感し、株高・円安・長期金利高で反応している。

 高市氏が勝利した自民党総裁選前日の10月3日、1ドル=147.47円だったドル円相場は、直近では、1ドル=155円前後と円安が進み、同じく45,769.5円だった日経平均株価は急騰し、10月31日には終値で初めて5万2000円台を超えた。その後、多少の調整があり11月18日には終値で約4週間ぶりに4万9000円台を
割ったものの、株高の基調は変わっていない。そして1.662%だった10年国債金利は 18日には一時1.75%をつけるなど、上昇している。

 こうした動きの背景には、財政拡張路線の強まりと日本銀行の利上げ環境が厳しくなっているという市場の見立て、そしてインフレ懸念の強まりがある。

 確かに、現在のマクロ経済環境で財政拡張路線と金融緩和を強めれば、インフレ率が予想以上に上振れるリスクが高まり、国民が最も期待する物価高対策に逆行する。

 現在の経済・物価環境は、物価は上昇し、「デフレ脱却」を掲げアベノミクス行っていたころとは劇的に異なっている。

 だが高市首相は、「責任ある積極財政」を掲げ、財政規律への配慮はしながらも積極財政政策を続けるようだ。

 労働市場が完全雇用の状態で、かつ日本銀行の「物価安定の目標」2%を大きく上回るインフレであってもなお積極的な財政支出を行おうとするのは、「高圧経済政策」そのものだ。

 成功のためには、いくつかの課題がある。