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財務省が発表した2025年末の日本の対外純資産残高は前年比4.4%増の561兆7504億円となり過去最高を更新した。一方で、ドイツ、中国の伸びが日本を上回り、日本は世界3位に転落した。連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは対外純資産。国全体の信用力を示す重要な指標だが、政府が自由に使える財源ではない。その意味と限界を整理する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
対外純資産で日本は世界3位に転落
ドイツ・中国との差は拡大へ
今回のキーワードは「対外純資産」です。
財務省は5月26日、2025年末時点の日本の対外純資産残高を発表しました。残高は前年比4.4%増の561兆7504億円となり、8年連続で増加しました。
ただし、順位では後退しました。日本は24年末にドイツに抜かれ、34年ぶりに世界首位の座を明け渡しました。さらに2025年末には中国にも抜かれ、世界3位に転落しました。
日本の対外純資産残高は過去最高を更新しましたが、ドイツと中国の伸びはそれを上回りました。財務省資料に基づくと、1位のドイツは前年比18.6%増の675兆5374億円、2位の中国は23.3%増の636兆3391億円です。
では、対外純資産とは何でしょうか。
対外純資産とは、対外資産から対外負債を差し引いたものです。
日本を基準にすれば、対外資産とは、日本の企業、金融機関、政府、個人が海外に保有する資産を指します。海外の土地や工場、株式や債券などの有価証券、政府が保有する外貨準備などが含まれます。
一方、対外負債とは、海外の政府、企業、個人が日本国内に保有する資産です。日本国内の土地や工場、日本企業が発行する株式や債券、日本政府が発行する国債などが該当します。
一言で言えば、対外純資産は、企業や政府、個人を含む日本全体が海外に差し引きでどれだけ資産を持っているかを示す指標です。
対外純資産は、基本的には経常収支の黒字が続けば積み上がります。貿易収支や(海外との利子・配当金や賃金のやりとりの差額である)第1次所得収支などを通じて海外から得た資金が、海外資産として蓄積されるからです。逆に経常収支の赤字が続けば、海外資産の積み上がりは鈍り、対外純資産は減少しやすくなります。
日本は経常収支では黒字を維持していますが、貿易収支では赤字になる年が増えました。これに対して、ドイツや中国は巨額の貿易黒字を続けています。経常収支も黒字です。その結果、両国の対外純資産は日本を上回る規模に膨らみました。
今後もドイツと中国が大幅な経常黒字を維持すれば、日本との差はさらに開く可能性があります。
では、日本はいつ世界最大の対外純資産国になったのでしょうか。そして、それ以前の首位はどの国だったのでしょうか。
次ページでは、その歴史を振り返るとともに、「日本には巨額の対外純資産があるのだから、政府の財政赤字が大きくても問題ない」といった、対外純資産を巡るよくある誤解を解いていきます。







