ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワードPhoto:JIJI

連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは「債務残高対GDP比」です。今年の骨太の方針は、この比率の安定的低下を財政運営の目標の中核に据えました。高市政権の成長投資が実を結ぶか否かで将来の比率は大きく変わります。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

財政運営の中核指標となった
「債務残高対GDP比」とは

 今回のキーワードは「債務残高の対GDP(国内総生産)比」です。

 7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」、いわゆる骨太の方針2026で、財政運営の目標の中核に位置付けられた指標です。

 国や地方自治体は、税収などだけでは賄えない支出を国債や地方債の発行、借入金などによって調達しています。こうして積み上がった債務残高を、国の経済規模を示す名目GDPで割ったものが、債務残高対GDP比です。

 GDPは、国内で1年間に新たに生み出された付加価値の合計です。従って、債務残高対GDP比は、経済全体の規模に対して政府の借金がどの程度の重さになっているかを示す指標といえます。

 財政の状態を測る指標には、ほかにもさまざまなものがあります。その一つが、プライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)です。

 PBは、国債発行などによる収入を除いた歳入から、過去に発行した国債の元利払い費を除いた歳出を差し引いたものです。政策に必要な経費を、その年度の税収などでどの程度賄えているかを示します。

 PBが均衡していれば、政策経費を賄うために新たな借金を増やす必要はなく、債務残高の増加を純利払い費相当などに抑えられます。

 従来の財政運営では、PBをいつ単年度で黒字化するかが重視されてきました。これに対し、骨太の方針2026は、PBを債務残高対GDP比の低下に向けて確認する指標と位置付け、その安定的低下と整合するよう複数年度で管理するとしました。

 単年度のPB黒字化を機械的に追うのではなく、経済や金利の状況、危機管理投資・成長投資の必要性に応じ、一時的な収支悪化も許容する考えです。「責任ある積極財政」の下で必要な投資を行う際、単年度のPB目標が過度な制約になることを避ける狙いがあります。

 家計に例えれば、ある年に将来の収入増加につながるまとまった支出を行い、収支が赤字になっても、複数年を通じた収入と支出、借入残高の推移によって健全性を判断するようなものです。

 骨太の方針は、債務残高対GDP比を安定的に低下させることで、財政の持続可能性を確保するとしています。

 経済規模に対する債務の比率が継続的に下がれば、一般に債務負担は軽くなります。ただし、比率が低下しているからといって、財政上の問題が起きないことが保証されるわけではありません。金利や財政収支、国債の償還構造、市場の信認なども併せて見る必要があります。

 では、日本の債務残高対GDP比は、実際にどのように推移してきたのでしょうか。次ページでは、これまでの実績と、内閣府が示した経済成長シナリオ別の見通しを検証します。