F:贅沢な悩みですね。昔ならエンジン音に隠れていたものが、EVだと表に出てきてしまう。リーフはそこまで静かになった。

磯:静粛性は、どこかひとつをやれば終わりというものではありません。モーター、減速機、マウント、サブフレーム、ボディ、タイヤ、空力。全部がつながっています。

F:遮音材を詰め込んで音を閉じ込めるのではなく、音の発生源と伝達経路を順番に詰めていく。3代目リーフの静けさには、ちゃんと構造的な理由があるわけですね。

磯:はい。そこはかなり造り込んでいます。

「3段折れ」制御~1万分の1秒、3ミリ刻みのトルク管理

F:もうひとつ試乗して強く印象に残ったのが、加速の出方です。EVらしいガッとした加速感がある。でも決して乱暴ではない。力強いのにスムーズにスッと出る。あの滑らかさはどのように造っているのでしょう。

磯:モーター制御の造り込みです。モーターはトルクの立ち上がりを細かく制御できます。単に速く走らせるだけなら、トルクを一気に立ち上げればいい。でもそれをやると、車体に振動が出たり、ギアのバックラッシュによる“歯打ち”が出たりするんです。

 歯車には必ず“遊び”の部分があります。これがないと歯車は回りません。そこにいきなり大きなトルクを掛けると、コツンと当たるような動きが出てしまう。それを避けるために、トルクを一度なまして優しく当ててから、滑らかに立ち上げています。

 我々はこれを「3段折れ」と呼んでいるのですが、トルクを直線的にドンと立ち上げるのではなく、途中に一瞬の“ため”をつくる。力の出方を少し整えてから、加速につなげるんです。そうすると、ギアの歯打ちを抑えながら、スッと前に出る加速になります。

3代目リーフは、パワフルかつなめらかに加速できる3代目リーフは、パワフルかつなめらかに加速できる Photo by A.T.

F:なるほど。踏んだ瞬間にドカンと出すのではなく、一瞬だけ整えてから前に出す。だから速いのに、動きが荒くならない。