磯:はい。それこそが制御です。モーターのトルクをどう出すか、ここは非常に細かく見ています。実際に1万分の1秒単位でトルクを制御しています。たとえば時速70キロで走っている時なら、車が3ミリ進むごとにトルクを制御しているようなイメージです。

F:3ミリ! クルマが3ミリ進むごとに制御を! もはや人間には感じ取れない世界ですね。

磯:もちろん人間が感じることはできません。ただ、その細かい制御の積み重ねが、最終的な滑らかさに繋がるんです。ドライバーは単に「なんとなく滑らかだな」「変なショックがないな」と感じる程度ですが、その裏では極めて微細な制御を行っているのです。

EVの進化は「何秒で何キロ」ではない~日産が積み重ねた技術思想

F:良いお話です。EVの加速というと、つい「何秒で何キロに達する」なんて話になりがちです。でもリーフが狙っているのは単に人を驚かせる加速ではない。踏んだ分だけ自然に出る。しかもショックが少ない。そこにEVのパイオニアたる日産が積み重ねて来た技術の蓄積がある。

磯:初代リーフでは、ペダルを踏んだ時の加速をリニアにすることを大切にしました。2代目ではe-Pedalによって、減速も滑らかにしました。そして今回は、走る、曲がる、止まるという3つをパッケージとして、EVらしく滑らかにしようとしています。

 加速だけが滑らかでもダメですし、減速だけが自然でもダメ。ハンドリングも含めて、クルマ全体の動きがつながっていないと、普通のお客様が違和感なく乗れるEVにはなりません。リーフは3代続けてEVを造ってきました。そこは我々の最大の強みだと思っています。

「普通にするための努力が、まったく普通ではありません」

F:ここまで来ると、EVというよりも、よく調律された機械に乗っている感覚に近いです。

磯:そう言っていただけると嬉しいです。EVらしい加速感はありながら、日常で扱いやすいことを大切にしています。

「実は世界で日産だけなんですよ」3代目リーフ開発陣が「世界唯一」と胸を張る自慢ポイントPhoto by A.T.

 刺激だけならもっとハデにできる。しかしそれでは毎日乗るクルマにはなりません。