俳優だけではない。制作に関しても、AIクリエイターだけでは完結しない。生成された素材を本編に組み込むには、演出、CGチーム、編集、VFXチームなどと密に連携する必要がある。「ドラマチームが一丸とならないと作れませんでした。だからAIを使っても使わなくても、チームは間違いなく、仲が良い方がいい」(古谷さん)
全員で知見を集約・活用するためにAI共創プラットフォームを開発
古谷さんがひたすら動画を生成するその一方で、川上さんはあるものを開発していた。はじまりは、プロデューサーの何気ない一言だった。「プロンプトや素材の共有って、どうしたらいいかな」。
AIでコンテンツづくりをしようにも、各クリエイターが手元でバラバラに作業していてはチェックができない。チーム全員で知見を集約・活用できる仕組みが求められていたのだ。そこで川上さんは、AIによる画像生成ツール、画像編集ツール、動画生成ツールと、制作に必要なアプリを次々と開発。「シーンとシーンの間を補完する動画を作りたい」「進捗を一覧で把握したい」など要望が上がるたびに、新たなツールを開発して応えた。
「新しい技術と制作現場、その間を橋渡しできるポジションが必要だ」と川上さんは話す Photo by M.S.
だがツールが分かれていては、他の番組で再利用しづらい。「TOKYO 巫女忍者」が味わった生みの苦しみを繰り返してほしくないと、複数のツールを統合的に使えるAIエージェントとして開発したのが、AI共創プラットフォーム「AI Co-Creator」だ。脚本をインプットするだけでAIが場所・人物・衣装を読み解き、シーン全体で一貫した世界観の映像を生み出す、優れモノである。
裏側では、Googleの生成AI「Gemini 3 Pro」が司令塔となり、画像生成は「Nano Banana Pro」、動画生成は「Veo 3.1」と、専門のAIに仕事を振り分けていく。複数のAIが役割分担で連携する、いわばAIエージェントのチームだ。生成データはGoogle Cloud Storageに蓄積され、別シーンでも世界観を保つ材料として再利用される。
「AI Co-Creator」の仕組み 提供:日本テレビ放送網 拡大画像表示
面白いのは、AIが自分で出力した動画を採点し、修正の方向まで示してくれることだ。これまで数週間はかかっていた絵コンテが、わずか1時間ほどで仕上がり、試せるアイデアが桁違いに増えたという。







