『スーパー野田ゲーWORLD』『スーパー野田ゲーWORLD』は、野田クリスタルさんが総監督を務める『野田ゲー』の第2弾。さまざまなジャンルの超面白ゲームを20種類ギュッと詰め込んだ、ゲームコレクションとなっている。今回の目玉は世界進出とオンライン対戦。遠くにいる友達と野田ゲーを楽しむことができる。詳細は→https://super-nodage.com/world/

お笑いコンビ・マヂカルラブリーの野田クリスタルさんは、テレビやお笑いライブで活躍するかたわら、独学でプログラミングを習得し「野田ゲー」と呼ばれる数々のゲームを手掛けている。そんな野田さんが、学生エンジニアのキャリアを支援するサポーターズが開催したテックカンファレンス「技育祭2023春」に登壇した。学生たちからの質問に答えたのだが、むしろ社会人経験を積んだ今だからこそ心に染みる回答の連続だった。学生だけでなく、大人の読者にも届けたい……ということで、野田さんのトークを大人向けにレポートする。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

プログラミングの“勉強”
という感覚はありません

「プログラミングを始めたきっかけは? また、どのように勉強されたんですか?」学生からこう質問されると、「プログラミングの勉強はしたことがない」と野田さんは答えた。

 ゲーム制作を始めたきっかけは、「お笑いライブで漫才以外のことに挑戦してみよう」という企画だった。当時の野田さんはプログラミング未経験。でも、ネットで調べてみると、そんな野田さんにも扱いやすそうなプログラミング言語が見つかり、いろいろ試しているうちに、いつの間にか動くようになっていた。だから、勉強という感覚は一切ないと話す。

 野田さんは、高校時代に友人とコンビを組み、お笑いの道に足を踏み入れた。2002年には、人気テレビ番組で実施された「第1回お笑いインターハイ」で見事優勝。芸人としては超エリートと言っていい。一方で、算数や数学は、からっきしダメだったという。プログラミングをするようになって「あの頃、ちゃんと勉強しておけばよかった」とつくづく後悔しているそうだ。

「今は学校でもプログラミングの授業があって、うらやましくて仕方がない」と、野田さんは言う。でも同時に、「プログラミングの“勉強”となると、敬遠していたかもしれない」とも感じているという。

 小学校では2020年度から、中学校では2021年度からプログラミング教育が必修化され、高校では2022年度からプログラミングやデータ分析を学ぶ「情報I」が始まった。2025年度からは、大学入学共通テストなどで「情報I」が出題される予定だ。つまり、情報は国語や数学と並ぶ基礎教科になったということだ。

 ここで懸念されるのは、情報を専門とする先生が足りないことも相まって、単なる受験科目としてプログラミングを教える学校が増えることだ。学生時代を思い返すと、好きになった教科の先生は、時に教科書を逸脱して歴史ミステリーを語ってくれたりしなかっただろうか。先生自身がその教科を心から愛し、楽しんでいるからこそ、それが生徒にも伝わっていたのだ。プログラミングはあくまでも、アイデアを形にするための手段だ。勉強と敬遠される前に、ものづくりの楽しさを実感できる環境こそ、必要なのかもしれない。