「見えないから予測する」のではなく、「空から見て確認する」。私たちの車も、ドローンの目を通じて「曲がり角の向こう側」を透視できるようになります。この視界の共有が、自動運転の安全性をさらに引き上げるのです。
もちろん、「一般道でドローンを飛ばしてよいのか」という規制の問題は避けて通れません。プライバシー、騒音、落下リスクなど、慎重に検討すべき課題は多くあります。
しかし、もしドローンによって交通事故を大幅に減らせると証明されればどうでしょうか。限定ルートでの運用、車両と連動した高度管理、専用ドローンレーンの整備など、制度側が技術に歩み寄る余地は十分にあります。
技術が先に現れ、社会制度があとから追いつく。それは、自動車も、飛行機も、インターネットも、例外なくたどってきた道なのです。
ドローン技術で
傘が「再発明」される!?
何百年にもわたり、私たちの生活に密着しながらも、驚くほど進化が止まっているプロダクトがあります。「傘」です。
発明から数百年。軽くなり、折りたためるようになり、自動開閉にもなりました。それでも私たちは、雨が降れば今も昔も、片手をふさぎながら傘を差しています。構造そのものは、ほとんど進化していないのです。
固定電話がスマホになり、フィルムカメラがデジタルへと飲み込まれていくなかで、傘だけは依然として「手に持ち、頭上に掲げる」というスタイルを私たちに強いています。
そんななかなか進化しない傘が、ドローンの技術によって再発明されるかもしれません。
想像してみてください。雨が降り出した瞬間、傘を取り出す代わりに、小型ドローンが静かに頭上へ飛来し、展開した傘を保ったままあなたの動きに追従する。そんな光景を。
両手は完全に自由です。スマホを操作しても、荷物を持っても、子どもと手をつないでもいい。使わないときに傘を持ち歩く必要もありません。必要なときだけ現れ、役目が終われば自動でステーションに戻っていく。
『2034 未来予測――AI(きみ)のいる明日』(中島聡、徳間書店)
晴れた日には、日傘としても機能します。炎天下のゴルフやテニスの最中、ドローンが頭上で日陰をつくり続けてくれる。プレーに集中しながら、熱中症のリスクを下げる。そんな使い方も考えられます。
もちろん、街中で無数の「傘ドローン」が飛び交う未来は、すぐには訪れないでしょう。電線、人混み、建物、そして墜落リスクやプライバシーの問題。課題は山ほどあります。
しかし、ゴルフ場やテニスコート、公園や広場のような限定された空間ならあんがい導入は早く進むかもしれません。障害物は少なく、人も管理しやすい。万が一の事故でも、被害は最小限に抑えられます。こうした場所から段階的に普及していく。それが最も現実的なシナリオです。
ドローンの小型化、静音化、バッテリーの長寿命化。技術面では、すでに下地は整いつつあります。もし、この「傘ドローン」の実用化に成功する者が現れたなら、それは数百年のあいだ停滞していた傘の歴史に、ついに新たな1ページが刻まれる瞬間となるでしょう。







