中原さんが仲間の猟師と一緒にヒグマ猟に出たとき、一人の猟師にヒグマが向かってきた。その猟師は猟銃を発砲したものの、命中せずに持っていた弾を全て撃ち尽くしてしまった。数メートル先まで来たヒグマに対し、窮余の策で猟師が大声を上げたら山中に逃げていった。大声は危機を回避する有効手段の一つになるだろう。
実はベテラン猟師の中原さんも、3m近くまでヒグマに近づいてこられたことがある。「やられるな」と半ば諦めかけたとき、咄嗟(とっさ)に持っていたロープを「ビューン、ビューン」と音を立てながら振り回した。
するとヒグマが来た道を戻っていき、命拾いをした。前出の柿崎さんは、ベルトなどを振り回すことは効果があると指摘している。長いひも状のものを振り回すことも、最後の手段として覚えておこう。
若いクマの縄張り争いで
負けたクマが押し出さた可能性
「なぜだか理由はわからないが、300kgを超える成獣のヒグマを山中で見ることがめっきり減ったんだわ。広い縄張りを持った力のある成獣のヒグマが減ったことで、山中では若いヒグマが増えているのかもしれないね」
「その若いヒグマ同士が縄張り争いをした結果、負けたヒグマが押し出されるようにして山を下りてくるようになったことも考えられると思うよ」
中原さんの話からは、山中における生態系の変化が読み取れる。その結果、クマの生活圏が次第に人里や市街地へ近づいたことで、恐れる対象だった人間に対する警戒心が薄らいだクマが増えてきたのかもしれない。
中原さんによれば、今春のドングリが成る木々の開花状況は悪くはないものの、初夏の天候次第で実を結ばない恐れもあるそうだ。あらためてクマへの警戒心を高め、万が一に備えておきたい。
2025年4月、捕獲したクマのもとに向かうベテラン猟師の中原慎一さん
2025年4月、捕獲したクマを確認するベテラン猟師の中原慎一さん
エゾシカの猟をするベテラン猟師の中原慎一さん
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>>【第1回】「時速50kmで突進してくるヒグマを撃つとき、ベテラン猟師が銃弾を“1発”しか込めない理由「いざとなったら…」」を読む
>>【第2回】「経験の浅い〈ガバメントハンター〉が手負いのクマを生む危険…「任期3年」制度の落とし穴」を読む







